1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05805066
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
卜部 和夫 名古屋大学, 工学部, 助教授 (60092540)
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Keywords | 粘土結晶 / ナノ加工 / 触媒機能 |
Research Abstract |
ゼオライトのような高性能・高選択的触媒を得るためには、3次元のナノ空間内に活性な元素を適切に配置、配列することが必要である。これを実現するため、報告者は2次元の層状粘土を原料として層間に分子サイズのカチオンを柱として導入して架橋粘土を合成し、その触媒機能の探索してきた。本研究では、(1)フッ素雲母において固有な層間カチオンの固着を利用して金属カチオンを固着させた架橋粘土を合成し、(2)また、セピオライト粘土結晶内のMgを種々な金属カチオンと置換した金属セピオライトを合成すると共に(3)これらの新規な触媒機能を探索・評価することを目的とした。 1)金属カチオン固着架橋フッ素雲母粘土:フッ素雲母の層間のNaを他の金属カチオンで交換した後、これを300℃以上で加熱するとフッ素雲母の交換サイトにカチオンが化学結合したフッ素雲母が得られる。これにアルミニウムの多核カチオンをイオン交換により層間に柱として導入してミクロ多孔体を合成した。Ba,Sr,Pb,Ca,Be,Laを固定した架橋体はほぼ同じ層間距離と表面積を持つミクロ多孔構造体である。しかし、クメンの分解活性はカチオンの種類によって全く異なり、カチオンの水和エネルギー(酸性)の序列に従っている。これは、カチオンを選ぶことにより固体酸性を制御できることを意味している。また、Liを固着した場合には天然にも稀な規則混合層粘土構造を全く人為的に作り出すことにも成功した。 2)金属置換セピオライト:原料セピオライトを700℃ほどの高温にて焼成した後、Ni,Cuなどの金属塩水浴液を用いて95℃にてイオン交換を行うと、セピオライト結晶の八面体のMgとの置換が起こり、金属置換セピオライトが合成できる。電子スペクトル、固体NMRなどの測定により構造を確認できた。また、格子のMgと置換できるカチオンはMgのイオン半径に近いNi,Znなどに限られるサイズ選択的なものである。Niセピオライトはブタノールからジブチルエーテルを合成する優れた触媒機能を示し、Znセピオライトは塩化ベンジルによるベンゼンのベンジル化のための高性能なFriedel-Crafts反応用触媒となることも見いだした。 上記1と2の成果は、類例のない報告者独自の「ナノ結晶の加工法」であり、今後は触媒機能の他にも適用が期待される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kazuo Urabe: "Acidity-tunable Pillared Mica Catalyst derived from Talc." Proc.10th Intern.Congr.on Catalysis. 2605-2608 (1993)
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[Publications] Kazuo Urabe: "Ni-exchanged Sepiolite as a Fibrous Clay Catalyst for Selective Dehydration of n-Butyl Alcohol to Dibutyl Ether." Proc.Intern.Symp.Zeolites and Microporous Crystals. 453-461 (1994)
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[Publications] Kazuo Urabe: "Zeolite,Clay and Heteropoly Acid in Organic Reactions" VCH and Kodansha, 166 (1992)
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[Publications] 日本化学会編: "マイクロポーラスクリスタル" 学会出版センター, 200 (1994)