1994 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素界面活性剤イオン対相分離現象による新しい多成分濃縮分離システムの創出
Project/Area Number |
05805068
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
五十嵐 淑郎 茨城大学, 工学部, 助教授 (70150258)
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Keywords | フッ素界面活性剤 / イオン対相分離現象 / 多成分濃縮分離法 / 生理活性物質 / 金属キレート |
Research Abstract |
前年度は、パ-フルオロオクタン酸を用いて、2種類の水性3相分離現象を見い出した。すなわち、中性〜アルカリ性領域で起るアミン系のものと酸性領域で起る極性溶媒系のものとである。 本年度は、研究計画の最終年度でもあり、前年度の相分離現象に対する基礎的知見に基づき、各種キレートおよび生理活性物質の濃縮・分離について詳細に検討を行なった。 アミン系(n-アミルアミン共存下)では、pH7〜8において三相分離現象を確認した。各相は、上方から水相および水に不溶な2種類の相(第二相、第一相)である。血液中の薬物の分離を想定して、L-アスコルビン酸、ヘモグロビン、α,β,γ,δ-テトラキス(4-トリメチルアミノフェニル)ポルフィン(TTMAPP)の三成分溶質について、本法を適用した。その結果、これらの溶質を一段の抽出操作で水相(L-アスコルビン酸)、第二相(ヘモグロビン)、第一相(TTMAPP)にそれぞれ定量的に分離することに成功した。また、極性溶媒系(ジメチルスルホキシド共存下)では、pH0.42〜0.46において、水性3相分離現象を確認した。溶質として8種類の合成水溶性ポルフィリン、4種類の鉄ピリジン誘導体キレート、2種類のトリフェニルメタン系色素および3種類の生理活性物質について、本抽出系を適用した。その結果、3種類の水溶性ポルフィリン(ヒドロキシスルホン酸、エチルスルホン酸-銅キレート、メチルピリジニウム)をそれぞれ水相、第二相、第一相に定量的に抽出分離できた。これらの溶質のもつ構造的物性は、本抽出系を他の溶質に応用する際のモデルとして重要である。なお、生理活性物質であるビタミンB_<12>は、本系では、第二相に74.3%、第一相に26.6%の抽出であり合計100%の抽出が可能だった。また、濃縮率は、第二相では170倍、第一相では260倍であった。 以上総括すると、本研究の目的である 新しい抽出分離手法(多成分均一液液抽出法)の開発に関して、本年度は、上記の成果を挙げることができた。今後、3相以上の多相系相分離現象の発見と広範囲な溶質への応用が期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shukuro IGARASHI: "A Novel Homogeneous liquid-liquid Extraction Based on Three-Phase Formation with Perfluorosurfactant and Amine Compounds" Chemistry Letters. 1189-1190 (1994)
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[Publications] Go YOKOHASHI: "A pH-Dependent Three-Phase Separation Phenomenon with Perfluorooctanoic Acid/DMSO/Water System" Journal of Colloid and Interface Science. (印刷中). (1995)