1993 Fiscal Year Annual Research Report
多環芳香族系ジチインおよびTTF誘導体の合成と3次非線形光学材料への応用
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05805073
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松岡 賢 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (30081326)
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Keywords | 有機非線形光学材料 / キノン系色素材料 / 分子間CT錯体 / 分子のスタッキング / 分子間CT相互作用 / 分子シート / 3次元スタッキング / CT発色系 |
Research Abstract |
3次の非線形光学材料は、将来の光-光変換素子材料として重要であり、ポリジアセチレンなどのpi系高分子材料と、比較的大きなpi電子系をもつフタロシアニンなどの色素系について、従来から広く研究されてきた。われわれは、低分子系色素材料の3次元的なスタッキングによって、材料としてのCHI^<(3)>を大きくする方向で研究を進め、その分子・材料設計について検討してきた。その結果、アミノナフトキノン系色素で目的とする分子を見い出すことが出来たので、その構造とCHI^<(3)>の関係について詳細に検討した。まず、色素の単結晶についてX線構造解析を行い、4中心の分子間水素結合によって分子シート状の構造をとること、さらに層間では4点中心の強力な分子間電荷移動型相互作用によって、分子がスタッキングしており、結果として、P1空間群に属する単結晶をあたえることが判った。この種の3次元的な分子のスタッキングは従来の3次非線形光学材料では見い出されていない。材料のスクリーニングとしては、溶液中と蒸着膜で吸収スペクトルを測定し、その差が大きな材料を選ぶことによって3次元的な分子のスタッキングを予測・判定することが出来るとの知見を得た。この方法論を用いて、ピロロピロール系顔料とテトラアミノベンゾキノン系材料をさらに見い出しており、ピロロピロール系顔料については、すでにそのCHI^<(3)>が先と同様大きくなることを見い出している。次年度はこのスクリーニング方法を用いて材料の探索を行い、3次元的な分子のスタッキングの有効性を一般化して行く予定である。
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[Publications] Masaru Matsuoka: "Dyes for Optical Recording" Mol.Cryst.Liq.Crys.224. 85-94 (1993)
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[Publications] M.Matsuoka,et al: "Photoreduction of Cyanine Borate IR Dyes" J.Chem.Soc.Chem.Commun.299-301 (1993)
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[Publications] M.Matsuoka,et al: "The Structure of the CT Complex Between Tetramethoxy dibenzothianthrene with TCNO" J.Heterocyclic Chem.30. 173-176 (1993)
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[Publications] D.Hou,M.Matsuoka: "Reaction of 2,3-Dichloro-5,6-dicyanopyrazine with Enamine and Some Tertiary Amines" J.Heterocyclic Chem.30. 1571-1575 (1993)
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[Publications] M.Matsuoka,et al: "Photochemistry and Application of Cyanine Borate IR Dyes" Mol.Crys.Liq.Crys.227. 309-315 (1993)
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[Publications] 松岡 賢: "低分子有機非線形光学材料(総説)" レーザー研究. 21. 1106-1115 (1993)
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[Publications] 松岡 賢(分担): "顔料分散技術" 技術情報協会, 250 (1993)