1993 Fiscal Year Annual Research Report
天然型アブシジン酸がアブラナ科野菜の貯蔵器官における糖蓄積と肥大生長に及ぼす影響
Project/Area Number |
05806003
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
西澤 隆 山形大学, 農学部・生物生産学科・農業生産学講座, 助教授 (10208176)
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Keywords | アブシジン酸 / ハツカダイコン / 肥大生長 / 抽だい |
Research Abstract |
天然型アブシジン酸(以下S-ABAと記す)が、ハツカダイコンの栄養生長、特に根の肥大生長に及ぼす影響について調べ、以下の知見を得た。 1.0-10ppmの濃度のS-ABA溶液に種子を浸漬した後に25/20℃(昼/夜)は種した場合、発芽後のハツカダイコンの根の生長量は、S-ABA処理をしなかった対照区に比べ、有意に増加あるいは減少することはなかった。近年低濃度のS-ABA処理により、野菜類の生長を促進できるとの報告が見られるが、本実験では、この結果を再確認することはできなかった。 2.100ppm以上の高濃度のS-ABA溶液に種子を浸漬した後には種した場合、発芽が大きく抑制された。高濃度のS-ABA処理による発芽阻害効果は、S-ABA処理中に種子を5℃で低温処理しても認められ、は種後2ヶ月以上経っても発芽は抑制された。 3.種子を10-100ppmの間の濃度でS-ABA処理してからは種すると、S-ABA処理中に低温処理しても、発芽後の抽だいが抑制された。この結果と1の結果から、低温条件などある特定の環境条件下でS-ABAを処理した場合には、ハツカダイコンの肥大生長に促進的に作用する可能性が示唆された。 今後は、S-ABA処理がハツカダイコンやカブの肥大生長のためのエネルギー源である炭水化物の合成とその代謝に及ぼす影響を中心に、S-ABAの作用機作の解明を進めて行く予定である。
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