1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05806021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 博一 東京大学, 農学部(林), 助教授 (70174810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木佐貫 博光 東京大学, 農学部(林), 助手 (00251421)
仁多見 俊夫 東京大学, 農学部(林), 助教授 (20192255)
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Keywords | 北方天然林 / 樹種特性 / 林分構造 / 現存量 / 個体数 / 後継樹 / 択伐施業 / 地形要因 |
Research Abstract |
針広混交天然林を取り扱う上での指針とするため、現存量や天然更新の特性が方位・傾斜などの地形要因とどのような関係があるかを林分ごとの樹種構成に着目しながら定量的に明らかにした。北方天然林を代表する樹種としてドドマツ、エゾマツ、アカエゾマツ、ミズナラ、ダケカンバ、ウダイカンバ、ニレ、イタヤカエデ、カツラ、ハリギリ、シナノキ、ヤチダモの12種をとりあげた。調査方法は、択伐施業を行っている東京大学北海道演習林内の天然林において50m×50mの標準地を647箇所設け、D.B.H.≧5.0cmの毎木のD.B.H.を測定するとともに地上高1.3m以上の後継樹の本数調査を実施した。なお、地形要因の解析にあたっては、縮尺1/5000分の地形図から標準地の4隅の標高を1m単位で読みとり、斜面方位、斜面傾斜、地形、標高を評価した。本研究で標準地とした647箇所は択伐林分(301箇所)、補植林分(107)、皆伐林分(33)、再生林択伐林分(61)、再生林皆伐林分(8)、風害林分(103)、制限林分(34)の7種類の林分に区分されている。標準地では胸高直径の測定しかなされていないため、現存量の指標として材積ではなく胸高断面積合計を用いた。全標準地の胸高断面積平均値は24.7m^2/haであるが、択伐林分では28.9m^2/ha、補植林分24.1m^2/ha、再生林択伐林分25.1m^2/haであるのに対して、風害林分は15.4m^2/ha、制限林分は21.8m^2/haと低い。このような林分区分による違いによる影響を避けるため本年度の解析は択伐林分に限定して行った。その結果、方位・傾斜による現存量の違いは認められなかった。傾斜の緩い場所で占有率が高くなるのはエゾマツ・ミズナラ、急な場所で占有率が高くなるのはアカエゾマツ・ウダイカンバ・シナノキ・カツラであった。南向斜面で占有率が高くなるのはトドマツ、アカエゾマツ、ミズナラ、北向斜面ではエゾマツ、ウダイカンバ、ニレ、イタヤカエデ、カツラ、シナノキの占有率が高くなる傾向が認められた。傾斜が急な標準地ほど後継樹が多くなる傾向が認められた。南向き斜面では北向き斜面の約2倍の後継樹数が認められた。この成果は平成6年4月の日本林学会で公表する。
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