1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05806021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 博一 東京大学, 農学部(林), 助教授 (70174810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木佐貫 博光 東京大学, 農学部(林), 助手 (00251421)
仁多見 俊夫 東京大学, 農学部(林), 助教授 (20192255)
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Keywords | 北方天然林 / 樹種特性 / 林分構造 / 現存量 / 個体数 / 後継樹 / 択伐施業 / 地形要因 |
Research Abstract |
針広混交天然林を取り扱う上での指針とするため、林分構造の特性が方位・傾斜などの地形要因とどのような関係があるかを林分ごとの樹種構成に着目しながら定量的に明らかにしている。平成6年度にはさらに50m×50mの標準地を176箇所追加し、合計823箇所とした。本年度の解析では樹種ごとの直径分布型に着目し、地形要因と関係を解析した。地形要因は方位、傾斜、地形とし各樹種ごとの傾向を調べた。北方天然林を代表する樹種としてドドマツ、マゾマツ、ミズナラ、ニレ、エゾイタヤ、シナノキの6種を解析の対象とした。直径分布型は絶対量よりも詳しい情報を与えてくれる。例えば、小径木から中径木への減少割合は、その樹種の生存率と成長速度を示しており、立地に対する適応力と種内および種間の競争関係の指標と見ることができる。その結果、トドマツ、シナノキ、ニレ、エゾイタヤでは鋭いL型分布を示しているのに対して、エゾマツ、ミズナラは比較的なだらかなL型分布を示している。この2種は稚樹の個体数の割に生木の本数が少ない。これは稚樹段階での死亡率が高く、その後は安定しているため、生き残った個体の寿命は相対的に長く、大径木の割合が高い。これに対して他の4種は16cm程度までの小径木が多く、その後の種内競争によって著しく個体数が減少することがわかった。次ぎに、地形要因と関係を解析した結果、どの樹種も一般的には南向き急斜面沢地形で天然更新が旺盛で個体数が多くなり、その後の競争関係によって個体サイズの増加とともに著しく減少し、鋭いL型分布を示す傾向があることがわかった。森林施業論の立場からみれば、トドマツの個体数および後継樹の数が択伐林分とそれ以外の林分で著しく異なることが特徴的である。このことは他の樹種と比べてトドマツにおいて特に顕著であり、トドマツの分布状況により森林の取扱い方法が変わることを示している。
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Research Products
(1 results)