1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05806029
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
亀山 宏 香川大学, 農学部, 助手 (70177608)
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Keywords | 環境便益 / 水資源 / Contingent Valuation / ため池 / Dichtomous Choice / ロジットモデル / 開発プロジェクト / 支払意志額 |
Research Abstract |
(1)環境の質の便益評価の研究について文献を整理し、膨大な研究の蓄積があり、各種の分野において応用されていることが判明した。 (2)LIMDEPを用いることにより、質的反応モデルも選択肢の順序づけについての情報を用い、Multunominalモデルよりもより効率的なOrdered Logitモデルにより、このモデルでため池の保全に対する周辺住民の平均支払い額が2,800円で、整備事業計画書によりその受益範囲を6,200戸ほどとすると、その便益は約840万円であると評価できた。 (3)付け値関数の特定化の特定化に当たり実施する診断検定の手順は、最尤法による計測の場合、最小自乗法と異なることが文献により判明し、現在、調査を進めている。 以上のような計測手法を政策決定に反映するべき理論的根拠として、「地方公共財」論からの接近を試み始めている。 (4)ため池は、従来から多面的機能を有し、主として水利組合のメンバー以外の消費を排除する「クラブ財」であるが、都市化の進展に伴い受益農家の減少で負担能力が低下し、より都市的な機能への需要に応えるべく整備内容を変更してきている。こうして、サービス享受のための土地占有の必要性を排除手段として、クラブ財が供給されるようになってきた。同様に、このように土地改良事業による農地(私的財)の保全の理論的根拠も含めて、土地改良事業の実施による「私的財およびクラブ財の地方公共財化」という観点から、アメニティー(生活の質)を構成する重要な要素として、農地、水利資産(ため池など)を環境資産の便益評価の枠組みと共に、理論的考察と評価手法を開発している。
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