1994 Fiscal Year Annual Research Report
雌の下垂体に新たにみいだされ雄にはみられない糖蛋白の実験解剖学的研究
Project/Area Number |
05807002
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
西塚 雅子 順天堂大学, 医学部, 講師 (20133332)
|
Keywords | 下垂体 / 前葉 / ゴナドトロピン / エストロゲン |
Research Abstract |
神経系に存在する特定の糖蛋白に対するモノクローン抗体を用いて、免疫組織化学により検出されたラットの下垂体前葉の一部の腺細胞の免疫陽性反応を、実験形態学的に解析した。 1.免疫陽性反応は雌ラットの下垂体前葉に見られ、免疫陽性細胞は黄体化ホルモン抗体にも免疫陽性であったことから、ゴナドトロピン(GTH)産生細胞のサブポピュレーションである。雄の下垂体前葉のGTH細胞には免疫陽性反応は認めない。陽性反応は分泌顆粒に認められ、immuno-gold法により免疫反応性は分泌顆粒に局在していた。 2.卵巣摘出にともない免疫反応性が消失し、卵巣摘出後エストロゲンを投与すると陽性反応が回復した。雄ラットにエストゲンを慢性的に投与すると本来は存在しない免疫陽性細胞が出現した。一方、アンドロゲンはこの反応の動態には関与しないと考えられた。プロゲステロンをエストロゲン存在下に投与したところ、免疫反応性は変化しないので、プロゲステロンはアンドロゲン同様に、この免疫反応性の動態に直接には関与しないと考えられた。以上の結果は、用いた抗体に特異的に反応する抗原物質は、エストロゲンの作用により、前葉のGTH細胞の一部において産生される、いわゆるestrogen-induced proteinの一つと考えられた。 3.下垂体において免疫反応を呈する抗原物質について考察したが詳細は不明であった。免疫陽性反応はラット以外の一部の動物の前葉にも認められたことから、下垂体における抗原物質の普遍性が示唆された。
|