1993 Fiscal Year Annual Research Report
非交感非副交感神経による心臓の神経性調節に関する実験的研究
Project/Area Number |
05807059
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
渡辺 直彦 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (20230980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 幸夫 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90004712)
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Keywords | 非アドレナリン性非コリン性神経 / カプサイシン / CGRP / 冠血流量 |
Research Abstract |
本研究の目的は、非アドレナリン性非コリン性(NANC)神経の冠循環に及ぼす影響を主に評価することであった。 1)ラットにおいて、カプサイシン処理によりNANCを除神経した群での冠血流量は、140mmHgから30mmHgにわたる広範囲の冠灌流圧において、対照群に比し平均で約30%減少したが、これは、心筋酸素消費量、左室発生圧等、心筋代謝の変調を伴わなかった。また、両群間でアデノシン投与後の最大冠血流量には有意差はなかった。このことは、NANC神経がbasal atateにおける冠血流の保持に重要な役割を担うことを意味する。その機序として、NANC神経に含有される神経ペプチドのアンタゴニストの投与実験から、代表的な冠拡張性ペプチドであるサブスタンスPよりもむしろカルチトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の枯渇による冠拡張機能の減弱が主として関与することが示された。 2)NANC神経の全身的な機能減弱状態は、1)の現象をひきおこすとともに皮膚の侵害受容機能を減弱させた。種々の程度のNANC神経の除神経状態を観察した場合、basal stateにおける冠血流と皮膚の侵害受容機能の間に負の相関がみられた。 3)過去の脳動脈での報告とは違い、硝酸薬の大静脈及び冠動脈拡張作用の機序において、CGRPの2次的な放出の関与は否定された。 以上より、NANC神経による冠循環の制御機構の存在が明らかとなった。この機構には、主にCGRPの冠拡張作用が関与すると考えられた。
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