1993 Fiscal Year Annual Research Report
色素性乾皮症A群患者の分子生物学的診断と臨床像との関係
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05807071
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
錦織 千佳子 京都大学, 医学部, 助手 (50198454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武部 啓 京都大学, 医学部, 教授 (10028318)
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Keywords | 色素性乾皮症 / XPAL遺伝子 / RFLP / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
色素性乾皮症(XP)は、紫外線(UV)よるDNAの損傷を修復する酵素が欠損している高発癌性遺伝病で細胞レベルでも臨床的にもUVに感受性が高い。XPは、遺伝的相補性テストにより、A-G群に分けることができるが、日本では、除去修復能が低く、皮膚症状が重く、露光部の癌の発症も早く、神経症状を伴うA群が最も多い。最近XPA患者細胞の修復能を相補するXPA complementing(XPA complementing(XPA)遺伝子がクローニングされたので、XPA患者の分子生物学的診断の確立を試みた。日本のXPA患者では、XPAC遺伝子のイントロン3、エクソン3、エクソン6の異常が多く、それぞれ、AlwN I,Mse I,Hph Iを用いた制限酵素断片長多型(RFLP)で検出することができる。そこで、過去のXP群患者(約400例)の中から、既に遺伝的相補性テストにより、A群と同定できたものを含めてUDSが10%以下のもの、臨床的にXPA群が強く疑われるものを選び、その線維芽細胞からDNAを抽出した。A群が臨床的に判然としない症例(患者が若く神経症状がでていないなど)については細胞融合を用いた遺伝的相補性テストにより、相補性群を決定した。第三イントロン、第三エクソンと第六エクソンについてイントロン部分の約20塩基をプライマーにしてPCR法で増幅して、それぞれの変異をPCR-RFLPによって調べた。日本人XPA患者46人において、まず先の3つのタイプのRFLPで検出できる型の頻度を知り、次にそれぞれの遺伝子型と臨床症状との関連性について検討した。制限酵素A1wNIを用いたPCR-RFLPで検出できる第三イントロンのスプライス変異をホモでもつ患者は41人おりそのうちの多くは10才以下で露光部の皮膚腫瘍を生じ、7-8才頃より聴力障害が生じ始め、十代でアキレス腱反射の低下、失調などにより歩行困難を来し20才前後で死亡することがわかった。制限酵素HphIのPCR-RFLPで検出可能な第六エクソンの変異をホモでもつ患者(27才)が一人みつかったが皮膚腫瘍の発生はあるものの軽症であった。又、イントロン3のスプライス異常とエクソン6の変異のcompound heterozygoteの一卵性双生児例があった。その患者は17才であるが軽い知能低下、失調、歩行困難があるが皮膚がんは発症していない。制限酵素MsEIのPCR-RFLP出診断可能な第三エクソンの変異都イントロン3のcompound heterozygoteが1例あったがまだ2才な臨床症状についてはくわしいことは不明である。遺伝子の変異の箇所と臨床症状が関連することが分かり、遺伝子診断により疾患の予後をある程度推測できることが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Chikako Nishigori: "High prevalance of a point mutation in exon 6 of XPAC gene in xeroderma Pigmentosum group A patients in Tunisia" Amer J Hum Genet.53. 1001-1006 (1993)
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[Publications] 錦織千佳子: "色素性乾皮症(遺伝)" 臨床遺伝医学IV-癌と遺伝. 51-55 (1993)
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[Publications] 錦織千佳子: "色素性乾皮症研究の現況-遺伝子研究とその臨床応用を中心に-" 臨皮. 9-17 (1994)
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[Publications] Shin-ichi Moriwaki: "A case of Rothumund-Thomson Syndrome with redused DNA repair capacity." Arch Dermatol. 129. 332-336 (1993)
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[Publications] Shin-ichi Moriwaki: "Absence of DNA repair dificiency in the conpirmed heterozygotes of xeroderma pigmentosum group A." J.Invest Dermatol. 101. 69-72 (1993)