1993 Fiscal Year Annual Research Report
胎性期のA2-インフルエンザ感染と精神分裂病発生との関係に関する研究
Project/Area Number |
05807082
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
常泉 智弘 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (70217355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸川 由実代 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (40247359)
千嶋 達夫 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手
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Keywords | 精神分裂病 / インフルエンザ / 胎生期 |
Research Abstract |
平成5年度は、分裂病の発症に、胎生期のインフルエンザ感染が関与していると推定される患者群の臨床的特徴について調査を行った。先行研究の対象患者に加え、更に216名を調査対象患者として追加した。以下に本年度の進行状況をまとめる。 調査項目の設定 対象患者から50名を抽出し、予備調査を行なった。この結果、1.対象患者の性別、2.生年月日、3.出生地、4.精神疾患の家族歴、5.精神分裂病の発症年齢、6.病型、7.脳波所見、8.CT所見、9.治療開始後の薬物反応性、10.予後、が調査可能な項目であると考えられた。 調査の実施 先行研究の対象患者457名のうち、聖マリアンナ医科大学神経精神科へ通院歴のある287例について、上記の項目の調査を行った。結果の詳細な解析は未だ行なわれていないが、1962年のインフルエンザ流行のピークを胎生5ケ月に経験した患者群、即ち1962年8月に出生した患者群について、以下の傾向を得た。 1.対象患者の性別:対照群と比較し、男性患者が多い。2.精神疾患の家族歴:分裂症の家族歴は認められない。他の精神疾患についても明確な家族歴は無い。3.分裂病の発症年令:平均発症年齢は26才であり対照群に比べ高年齢の発症である。4.病型:対照群に較べ緊張型の出現率が高い。5.脳波とCTの異常:検査を施行した症例では、いずれの症例においても脳波と頭部CTの異常は認められない。6.治療開始後の薬物反応性:薬物反応性の低い症例が多く、症状の改善に1年以上を要した患者が半数以上であった。7.予後:社会復帰が可能であった症例は1例のみであった。 尚、本研究は未だ進行途上であり、本年度は論文発表には至っていない。現在までの研究結果は、XIXth CINP Congress(June 27-July 1,1994 Washington,D.C.)において発表予定である。
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