1993 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン分泌における蛋白燐酸化の役割の解明-蛋白脱燐酸化酵素阻害剤を用いて
Project/Area Number |
05807084
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
玉川 達雄 名古屋大学, 医学部, 助手 (80175455)
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Keywords | インスリン分泌 / 蛋白脱燐酸化酵素 / オカダ酸 / fura2 |
Research Abstract |
インスリン分泌の細胞内情報伝達における燐酸化された蛋白の役割に関して、特異性のある脱燐酸化酵素阻害剤のオカダ酸(OA)を用いて検討した。既にOAがブドウ糖(G)によるインスリン分泌を濃度依存性に抑制することを報告したが、本研究では1μM OAの(1)ブドウ糖の代謝と(2)セカンドメッセンジャーの細胞内カルシウム(Ca)濃度に及ぼす影響を検討した。 (1)コラゲナーゼ法でラットより単離した10個ずつの膵島を用いてD-[^<14>C(U)]-Gを含む3or10mMG±OAの条件下でCO_2産生を測定した。CO_2産生は3mMGで41.5±3.0であったが、10mMGの添加により258.9±15.1 pmoles/10 islets/hと増加した。OAを加えてもそれぞれ43.5±3.0と245.6±14.0 pmoles/10 islets/hであり、有意な変化はなかった。 (2)5μM fura2/AMを加えたHepes入りKRB buffer中で膵島を30分間incubationした後、蛍光顕微鏡のステージ上にマイクロピペットの先端に膵島を固定し、340nmと380nmで励起して340/380比を測定したところ、10mMGによりCa濃度は上昇したが、OAを加えても変化はなかった。 当初予定の半分以下の実験しかできなかったが、それはfura2を用いた細胞内Ca濃度の測定が単離細胞ではよく行われているが、膵島のように多くの細胞からなる組織ではほとんど報告がなかったため、試行錯誤を繰り返し、実験系の確立に多くの時間を費やしたからである。しかし、新しい実験系が確立したことにより今後の実験は順調に進展するものと思われる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tamagawa T et al.: "Effects of somatostatin on insulin release from digitonin-permeabilized islets" Biomedical Research. 14. 337-343 (1993)
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[Publications] Niki I et al.: "Presence and possible involvement of Ca/calmodulin-dependent protein kinases in insulin release from the rat pancreatic β cell" Biochemical and Biophysical Research Communications. 191. 255-261 (1993)