1994 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン分泌における蛋白燐酸化の役割の解明-蛋白脱燐酸化酵素阻害剤を用いて
Project/Area Number |
05807084
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
玉川 達雄 名古屋大学, 医学部, 助手 (80175455)
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Keywords | インスリン分泌 / 蛋白脱燐酸化酵素 / オカダ酸 |
Research Abstract |
インスリン分泌の細胞内情報伝達における蛋白の燐酸化の役割を明らかにするために脱燐酸化酵素阻害剤のオカダ酸とカリクリンAのβ-escinで細胞膜の透過性を高めた膵島からのインスリン分泌に及ぼす影響を検討した。 (1)Ca濃度を0.1μMから10μMに増加するとインスリン分泌は1.2ng/5 islets/hから1.9ng/5 islets/hに増加した。オカダ酸(1μM)を加えるとインスリン分泌はそれぞれのCa濃度で4.8倍と2.8倍に増幅された。 (2)0.1μMCa濃度でオカダ酸とカリクリンAは0.1-1μMの濃度で濃度依存性にインスリン分泌を増幅した。最大効果はそれぞれ1μMと0.5μMで得られた。 (3)0.1μMCa濃度でオカダ酸が惹起したインスリン分泌はアデニレート・サイクレースの活性化剤のフォルスコリン(1μM)によって影響されなかった。またCキナーゼの活性化剤のTPA(100nM)はさらに増幅した。 以上の結果は蛋白の燐酸化の増強がβ-escinで細胞膜の透過性を高めた膵島からのインスリン分泌を増幅すすることを示しており、以前に正常膵島でオカダ酸とカリクリンAがインスリン分泌を抑制したことと併せて考察すると蛋白の燐酸化の増強は刺激-分泌関連のCa濃度の上昇の前後の少なくとも2ケ所で正反対の作用をすると考えられた。
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Research Products
(1 results)