1994 Fiscal Year Annual Research Report
G-CSF反応性白血病細胞のG-CSFによる細胞死誘導の機序に関する研究
Project/Area Number |
05807094
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Research Institution | FUKUI MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
和野 雅治 福井医科大学, 医学部, 講師 (20210990)
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Keywords | G-CSF / apoptosis / Fas antigen / AML / bcl-2 |
Research Abstract |
これまで主としてリンパ球の研究から明らかにされてきたFas抗原(アポトーシス誘導細胞膜受容体)が、G-CSF存在下で培養した多くのAML細胞でも増強あるいは発現されることを、限られたケースではあるが平成5年度中に明らかにした。平成6年度にはこの現象が一般的なものかどうか、新鮮未治療白血病細胞について検討を進めた。その結果: (1)多くのAML細胞、特にアズ-ル顆粒を発現する傾向のある細胞で(AML-M2,M3,M4)でFas抗原がよく検出され、細胞分離直後にすでにFasを発現するものも少なくないことが明らかになった。即ち、ある種の条件に左右されるとしてもFas抗原発現はAML細胞においてもかなり普遍的な現象であることが明らかになった。G-CSFを添加すると短期日で白血病芽球のアズ-ル顆粒の発現増強が認められ、これに並行してFas抗原の発現が増強する現象が認められた。G-CSFはAML細胞を形態的に成熟した好中球に分化させることはなかったが、アズ-ル顆粒の増強という点で、ごく初期の分化段階(1次顆粒発現)を誘導したものと考えている。このこととFas発現の関連は不明であるが、現象的に並行するらしいことは明らかになったといえる。 (2)次に、アポトーシスを抑制し、Fas抗原の発現を抑制する効果が明らかにされているbcl-2蛋白の発現を検討してみた。その結果、Fas抗原の発現と同様に、新鮮未治療白血病細胞において既にbcl-2蛋白を発現するAML症例が少なからず存在することがわかった。G-CSF添加培養では、1週間程度の短期観察ではFas抗原の発現増強とともにbcl-2蛋白の増強もみられ,Fas発現とbcl-2発現の逆相関は認められなかった。しかし、10日から2週間以上の長期観察ではbcl-2の発現が減弱し、時期的にはこの頃より形態的にアポトーシスの特徴を有する細胞が増加するケースもあった。しかし、Fas発現とbcl-2発現との関連については今後更に検討を加える必要があると思われた。 (3)AML細胞に発現したFas抗原がアポトーシスを誘導するのかどうか、少数例においてlgM抗Fas抗体添加による予備実験を行った。抗Fas抗体の濃度や培養の時間と温度等十分検討できていないが、少なくとも0.1μg/mlの濃度では有意にアポトーシスを誘導できた例はなかった。AML細胞のFas抗原がいかなる機能を有するか今後の検討課題である。 なお、ヌードマウスに対する新鮮白血病細胞の移植とG-CSF投与の効果については、2例で実験を試みたが短期間でも白血病細胞の増殖を示したマウスが得られず、計画を断念した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] WANO,Y.: "Different effects of granulicyte colony-stimulating factor(G-CSF)and granulocyte-macrophage colony-stimulating factor on in vitro survival acute myeloblastic leukemia cells." La Revista de Investigacion Clinica. Suppl.191- (1994)
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[Publications] WANO,Y.: "Granulocyte colony-stimulating factor (G-CSF)stimulates proliferation,in turn,may induce apoptosis of acute myeloblastic leukemia (AML) cells." J.Jpn.Soc.Cancer.Ther. 30. 306- (1995)
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[Publications] 和野,雅治: "急性骨髄性白血病細胞におけるFas抗原の発現・アポトーシスと顆粒球コロニー刺激因子(rhG-CSF)の効果" Biotherapy. 9(in press). (1995)
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[Publications] Ueda,T.: "Pharmacokinetic and clinical pilot study of high-dose intermittent ubenimex treatment in patients with myelodysplastic syndrome." Anticancer Research. 14. 2093-2098 (1994)