血行再建術後吻合部内膜肥厚抑制を目的とした遺伝子治療の基礎的検討

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 05807102
• Research Institution: Asahikawa Medical College
• Principal Investigator: 稲葉 雅史 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70151587)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 笹嶋 唯博 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (20109515)
• Keywords: 吻合部内膜肥厚 / 中膜平滑筋 / c-myb c-myc / アンチセンスオリゴヌクレオチド / in situ hybridization

Research Abstract

小口径人工血管のグラフト閉塞の主要な原因である吻合部内膜肥厚に対する遺伝子学的検討を継続した体重12〜15Kgの雑犬5頭の両側頸動脈に内径4mmのe-PTFE人工血管移植を行っているが、宿主血管内径が約3mmと細いことに加え、spasmusが顕著に持続して認められる傾向にあり、移植早期の閉塞が頻発している。吻合時のspasmus防止措置が必要と考えるが、より口径が大きい腹部大動脈移植への変更も考慮しなければならずこの場合内膜肥厚がより短期間に発生しやすい血行再建術式(動脈-静脈間バイパス、Outflow結紮など)を検討している。
一方臨床例においては、内膜肥厚部位の病理標本を慢性透析症例の再手術時などから採取し、これらこれらの抗ヒト平滑筋アクチン染色、Proliferating CellNuclear Antigen(PCNA)染色、proto-Oncogenであるc-mybやc-mycに対する特異的抗体を用いた染色標本から内膜肥厚発生時期と染色程度の客観的評価を行っている。また、雑犬3頭の腹部大動脈に移植した頸静脈移植グラフトを移植2および7日で剔出し、これらの同様な染色体標本との比較検討から種による染色性の違いおよびアンチセンスc-mybあるいはc-mycオリゴヌクレオチドを人工血管吻合部に導入した際の内膜肥厚抑制効果の組織学的客観評価に使用なし得るか否かを引続き検討している。
inviroの雑犬胸部大動脈平滑筋培養を施工し、これらに対するアンチセンス導入ではこれまで平滑筋細胞増殖が抑制される傾向が認められるが、実際にc-mybあるいはc-myc遺伝子発現が抑制されていることの証明にはin situ hybridizationの施工が必須と考えられ、これらの概念の取得および主義の確率を最優先に行っている。