グリア細胞不死化に関係する遺伝子のクローニング-ラットグリア不死化細胞を用いての検討-

1993 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 05807125
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 平賀 章壽 大阪大学, 医学部, 助手 (40243232)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 有田 憲生 近畿大学, 医学部, 助教授 (80159508) ; 瀧 琢有 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 ; 佐古田 三郎 大阪大学, 医学部, 助手 (00178625) ; 早川 徹 大阪大学, 医学部, 教授 (20135700)
• Keywords: 悪性グリオーマ / 不死化 / アストログリア

Research Abstract

(1)細胞の不死化は悪性腫瘍の初期腫瘍性変化と考えられているが、グリオーマに至る過程の中でその不死化に関する知見は乏しい。私たちは接触抑制を有し造腫瘍性のないラット胎児グリア不死化細胞5株を樹立した。その不死化に関してras,myc,c-sis,neuなどの既存の発癌遺伝子の異常を検討したが、それらの異常はみられなかった。
(2)線維芽細胞の不死化に癌抑制遺伝子p53 alleleの部分的欠失、mRNAの消失あるいは発現低下、不活性型p53の産生等が関与していることが知られているが、私たちの不死化グリア細胞には、そのようなp53の変化はみられなかった。
(3)そこで、これらのグリア不死化株から、グリア細胞不死化に最も関与する遺伝子を見出すことを第一の課題とし、それと相同性を有するヒトグリア細胞の遺伝子をクローニングすることをめざした。
(4)正常の胎児グリア細胞と不死化グリア細胞のcDNAライブラリーを作成し、各々の間でdifferential hybridizationを行なった。
(5)これらの細胞間で信号強度の異なる400余りの候補遺伝子サブクローンをスクリーニングし、順次これらのDNAシーケンスを行なっている。
(6)現在、これらのサブクローンのシーケンスを遺伝子バンクに登録された既知のDNAシーケンスと比較検討し、アストログリアの不死化の責任遺伝子を検討している。
(7)平成6年度には、スクリーニング・解析後の検討で候補と考えられる遺伝子を各々の細胞に導入し、その発現結果(不死化の獲得あるいは解除など)を検討して、責任遺伝子を決定づける予定である。

Research Products

• [Publications] 平賀 章壽: "悪性グリオーマに対するモルフォリノアンスラサイクリン系抗癌剤MX2の効果-ACNUおよびetoposideとの交叉耐性の有無に関する検討" KARKINOS. 5. 1328-1333 (1992)
• [Publications] T.Ohnishi: "Role of Glioma derived motility factor(GMF)in tumor invasion." J Neuro-Oncol. 15. S19 (1993)
• [Publications] T.Hayakawa: "Primary central nervous system lymphoma in Japan-A retrosrective cooperative study by CNS-Lymphoma Study Group in Japan-" J Neuro-Oncol. (in press).
• [Publications] T.Taki: "Anti-proliferative effects of TNP-470 on human malignant glioma in vivo:potent inhibition of tumor angiogenesis." J Neuro-Oncol. (in press).
• [Publications] M.Higuchi: "Expression of tanascin in human gliomas:its relation to histological malignancy,tumor dedifferentiation and angiogenesis." Acta Neuropathol(Berl). 85. 481-487 (1993)
• [Publications] N.Arita: "Tenascin expression in human glioma cell lines and tissue." J Neuro-Oncol. 15. S2 (1993)
• [Publications] 平賀 章壽: "Annual Review 神経" 中外医学社, 178-187 (1994)
• [Publications] S.Hiraga: "Biological aspects of brain tumors" Springer-Verlag, 273-280 (1991)