1993 Fiscal Year Annual Research Report
糖脂質糖鎖抗原をターゲットとする脳腫瘍免疫療法の開発
Project/Area Number |
05807129
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
伊林 至洋 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50193636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 繁文 札幌医科大学, 医学部, 助手 (80174449)
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Keywords | brain tumor / immunotherapy / LAK cells / ganglioside / TLC |
Research Abstract |
ヒトグリオーマ細胞株11種類およびヒトメラノーマ細胞株、ヒト線維芽細胞株それぞれ1種類の糖脂質組成を薄層クロマトグラフィーで解析した。その結果グリオーマ細胞では正常神経細胞とは大きく異なる糖脂質組成を持つことが明かとなった。これら細胞の糖脂質発現がサイトカイン等の外来因子により影響を受けるか否かを解析し、ごく限られた状況では劇的な変化を起こしうることが明らかとなった。また細胞周期各相での糖脂質発現を1細胞株で解析した結果、細胞分裂時には糖脂質の発現が有意に増強されることを明らかにした。これら糖脂質の各成分と抗体の反応性をTLC immunostainingにより解析し、GD2,nLc4Cer,GM2で陽性反応を得た。現在GM3,GD2,sialylparagloboside,asialoGM1,asialoGM2に対する抗体を調整し、反応性を検討しているところである。 グリオーマ細胞が特定の状況下で外来のシグナルに劇的に反応し、糖脂質発現を大きく変化させうるという発見は、糖脂質の発現調節の機構およびサイトカインのシグナル伝達機構の解析に新たなアプローチを与えるものとして非常に注目される。また細胞周期と糖脂質発現の関連では細胞分裂時に糖脂質の発現増強が見られ、糖脂質分子が細胞分裂という動的な現象において膜表面で機能的にも重要な役割を果たしていることを暗示させ注目に価する知見と思われる。これら糖脂質分子が腫瘍化にともない構成分子の変化を起こし、腫瘍関連抗原としても認知されうることは興味深い。平成5年度では、抗体の調整およびTLC immunostainingの条件設定に時間を要したため、一部の抗体の反応性をチェックするにとどまり、平成6年度は引続き抗体の調整及び反応性の解析を続けていく。
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