1993 Fiscal Year Annual Research Report
吸入麻酔薬の中枢神経作用因子としての神経伝達物質の遺伝薬理学的研究
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05807142
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Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
横野 諭 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助教授 (70106425)
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Keywords | 麻酔薬感受性 / エンケファリン / ニューロペプチドY / 海馬 / 視床下部 / 三叉神経脊髄路 / 免疫組織化学 / 遺伝薬理学 |
Research Abstract |
雄性F1世代については、以下のような画像解析の結果が得られた。(数値は染色程度;sGV、ENK;エンケファリン、NPY;ニューロペプチドY) *;ddNM<C57BLM,F1M,F1'M. P<0.01 **;ddNM>C57BLM,F1M,F1'M. P<0.01 #;C57BLM<ddNM,F1M,F1'M. P<0.01 @;F1'M<ddNM,C57BLM,F1M.P<0.01(Mann-Whitney Test) 麻酔薬感受性との相関について検討したところ、正向反射消失を指標とした場合、海馬苔状繊維ENKとの間に正の相関が、視交叉上核NPYと室傍核NPYとの間には負の相関が推測されたが、三叉神経脊髄路核NPYとの間には相関はないものと考えられた(イソフルラン、エンフルランについて)。海馬苔状繊維ENKは海馬の興奮性に対して促進的作用をもつことが知られており、従来の海馬機能に対する麻酔薬の影響についての知見からも首肯できる結果である。視交叉上核は、サーカデイアンリズムの中枢であり、この部位NPYは光に対する同調に関わることが知られている。麻酔薬感受性自体にサーカデイアンリズムが存在することから、なんらかの影響を及ぼしていることも考えられる。また、今までに各系統マウスの活動量の日内変動を検討しているが、明期活動量と点灯、消灯による変化量と視交叉上核NPYはよく相関しているようである。三叉神経脊髄路核NPYは痛み伝導路に属し、正向反射消失を指標とするよりも、痛みに対する反応を指標とした感受性との相関を検討すべきと考えられるので、現在各系統マウスについてTail Flick Testを施行している。予備実験段階であるが、正向反射とは異なった感受性分布が認められており、三叉神経脊髄路核NPYとは相関していると推測される。 F2世代については、麻酔薬感受性の測定と、それに基づく対象選択が終り、免疫組織染色を進めている。
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