1994 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌内TH1/TH2免疫調節機構、T細胞受容体解析および腎細胞癌免疫療法
Project/Area Number |
05807144
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
武内 巧 東京大学, 医学部(病), 助手 (90167487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
押 正也 東京大学, 医学部(病), 講師 (60143468)
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Keywords | 腎腫瘍 / T細胞 / サイトカイン / IC-4 |
Research Abstract |
腫瘍の退縮はIL-2やIFN-γの転写、放出を行うT細胞、即ちTh1細胞の活性と関連づけられている。故にTh2細胞はIL-4やIL-10の放出を介してプレカーサーからのTh1細胞の生成を抑制し、Th1を刺激する抗原提示細胞の能力を修飾することにより腫瘍免疫の発現を阻害するかもしれない。今回、マウス腎細胞癌(Renca)モデルにおいてTh1(IL-2,IFN-γ),Th2(IL-4,IL-10)サイトカインおよびTGF-β1を検出し,明らかなサイトカイン発現パターンが認められるかを検討した。Th2サイトカイン(IL-4,IL-10)、TGF-β1はRenca細胞接種後、担癌状態にて増強するように思われたが、Th1サイトカイン(IL-2、IFN-γ)はほとんど検出されなかった。50μgの抗マウスIL-4抗体の投与にて,Rencaの増殖は溶媒投与に比して軽度にしかし有意に抑制されたが、抗マウスIL-10抗体(50μg)は抵抗腫瘍効果を示さなかった。1x10^5個のRenca細胞接種時に500μgの抗IL-4抗体を腹腔内投与したBalb/cレシピエントのうち、6匹中4匹(67%)において腫瘍は拒絶されたが、IL-4抗体を投与されないレシピエントでは全例2週後には肉眼的腫瘍を形成した(p=0.02)。腫瘍を拒絶したレシピエント全例において著明な脾腫大を示し、脾臓においてはTh1サイトカイン(IL-2,IFN-γ)発現の上昇、多核巨細胞の出現がみとめられたが、Th2サイトカイン、TGF-β1といった抑制性サイトカインの発現は担癌ホストのコントロールとほぼ同程度であった。 またマウスIL-4を強制発現したRencaクローンを作製した。RencaHは多量、RencaLは少量のマウスIL-4を産生する。67%のRencaHはBalb/cにおいて拒絶されたが,RencaLとナイーブRencaはすべて生着した。比較的多量のIL-4産生がRenca腫瘍の拒絶に必要なように思える。C3HマウスにおいてはナイーブRenca,RencaH、RencaLのいずれもFK506投与やDSTにかかわらず生着しなかった。Renca細胞におけるIL-4の強制発現はその強さにかかわらず、また免疫調節、抑制を加えてもMHCのバリヤ-を越えてアロのホスト(C3H)には受け入れられなかった。
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