1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05807168
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
真下 啓二 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (10181637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 智之 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (60080066)
橋本 俊 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (10094393)
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Keywords | 肝保存 / 凍結保存 / 胆汁酸 |
Research Abstract |
【研究目的】臓器移植の発展のために得られた臓器の長時間保存方法の確立が重要となる。本研究では、肝超低温保存の方法と手技の開発、およびその問題点を明らかにすることを目的とした。 【研究方法と結果】ラット肝を胆管、門脈よりカテーテルを挿入後摘出した。組織全体を急速に冷凍することにより組織障害を予防し細胞代謝を停止させることを目的にしたので、肝をそのまま-170℃の液体窒素内に投入すると外部内部の温度差が急速に生じ、肝は直ちに細片に分解した。そこで門脈内に凍結防止剤として10%グリセリンを注入し、液体窒素内に投入したところ、肝の外観は保ったまま凍結されたが、解凍後の傷害は強かった。そこで超低温保存は中止し、10%グリセリンを注入後の-80℃保存に切り替え、解凍は40℃恒温槽にて急速に行った。保存肝のViability判定として、解凍後酸素化した37.0℃ Krebs Ringer Bicarbonate solutionにて非再還流方式の肝灌流を行い、代謝機能の評価法として、灌流中に胆汁酸(Taurocholate)を負荷し、その後の胆汁量増加率を検討した。灌流開始後2時間30分まで透明な(ビリルビン色を伴わない)胆汁の良好な流出が認められた。しかし、胆汁酸負荷による胆汁量の増加は認められなかった。灌流後の病理組織像では、類洞構造の著明な破壊像が認められた。また比較対照として、肝摘出後直ちに灌流に供した群(非保存群)とTOM1液、TOM2液で4℃24時間保存した後同様に灌流を行った群を設定した。24時間保存群は胆汁酸負荷前の胆汁流出量は少なかったが胆汁酸負荷に対しては良好に反応し非保存群とほぼ同様の増加率を示し、胆汁流出量は増加した。凍結保存群は非保存群と胆汁流出量は同じであった。 【今後の研究計画】凍結保存における臓器障害機序、部位などにつきさらに詳細な検討を行う予定である。
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