1993 Fiscal Year Annual Research Report
サイクリックAMPによる細胞外液中カテコールアミン神経伝達物質濃度の調節
Project/Area Number |
05807173
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
山田 正三 明海大学, 歯学部, 教授 (30049358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 信夫 明海大学, 歯学部, 講師 (20118574)
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Keywords | cyclic AMP / protein kinase A / catecholamine uptake / vesicular amine transport / neurotransmitter / extracellular amine / pheochromcytoma PC12 / dopaminergis neuron |
Research Abstract |
本年度の研究計画は、培養神経細胞および中枢神経における細胞外液中のカテコールアミン濃度に対するcAMPの影響について検討することであった。 1.ラット上顎神経節細胞の初代培養に関する実験:上頚神経節はカテコールアミンを神経伝達物質とする神経細胞の純粋な培養を得るのに適した材料であるが、神経細胞の特徴として培養後に増殖することはなく、多量の細胞を得るために効率よく培養に移すことが必要てある。現在、この手法について検討中である。 2.ラット脳の細胞外液ドーパミン濃度に対するcAMPの影響:脳マイクロダイアリシス法によってドーパミン(DA)作動性神経細胞が局在する部域、線条体における細胞外液DAに対する原形質膜を透過可能なcAMPアナログ、dibutyryl cAMP(dBcAMP)の影響について検討した。dBcAMPはラット線条体細胞外液のDA濃度を増加させた。DA濃度はdBcAMP投与によってゆっくりと上昇し、1.5〜2時間で最大レベルに達した。このときのDA濃度は基底レベルの約3倍であった。このレベルはdBcAMP投与が続く限り維持され、dBcAMP投与停止後ゆっくりと下降し2時間程後に基底レベル近くまで減少する。このようなdBcAMPによる細胞外液DAの上昇は、高KイオンによるDAの上昇とはまったく異なっている。高KイオンによるDA上昇は急速で30〜40分で最大に達し、それ以後は高Kイオンを与え続けてもDAは再び急速に低下する。また、dBcAMPにるDA増加作用は、高Kイオンの作用よりも細胞外液中のCaイオン濃度の低下による影響を受けにくい。これらの結果は、dBcAMPがnon-exocytoticな機構によって細胞外液中のカテコールアミン濃度を調節するという筆者らの仮説に一致するものである。
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[Publications] 野村,和弘: "褐色細胞腫細胞PC12hのcatecholamine取り込みに対するプロテインキナーゼ阻害剤の影響" 明海大学歯学雑誌. (発表予定). (1994)
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[Publications] NAKANISHI,Nobuo: "Long-term treatment of PC12 phechromocytoma with dibutyryl cyclic AMP increases biopterin content in the cell but decreases that in the medium.(In:Chemistry and Biology of Pteridines and Folates,pp.231-234.)" Plenum Press,New York(Ayling,J.E.,Nair,M.G.,& Baugh,C.M.,ede.), 4 (1993)