1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05807174
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
花岡 洋一 東京歯科大学, 歯学部・法歯学講座, 講師 (30180912)
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Keywords | DNA抽出 / 歯髄 / 歯牙の脱灰 / DNAフィンガープリント / D4S43 locus |
Research Abstract |
1.歯髄からのDNA抽出について:歯髄においては3〜40mug程度のDNAが得られ、抜歯後約1年経過した歯髄からでも、20Kbp以上の高分子DNAが回収可能であった。また得られるDNA量は、約1年間の範囲内において、抜去歯の経過日数との間には相関が認められず、得られる歯髄量が多い程、DNA回収量も多くなる傾向にあった。 2.歯牙硬組織からのDNA抽出について:歯牙硬組織よりDNAを効率良く回収するためには、充分な脱灰が必要である。本研究から0.5M EDTA溶液による1週間程度の脱灰が好ましく、EDTA溶液の脱灰能の低下を考慮した溶液の頻繁な交換は、かえってDNAのロスを生じるという結果が得られた。また得られるDNAは、殆どの試料において低分子化したDNAであった。 3.DNAフィンガープリントについて:歯髄より得られたDNAでは、Myoプローブを用いたDNAフィンガープリント像を作成することが充分可能であり、多くのバンドが検出された。歯牙硬組織を試料とした場合でも、高分子DNAが得られた場合についてはDNAフィンガープリント像の作成が可能であり、同一人由来の歯髄および歯牙硬組織では両者同様のパターンが示された。しかしながらDNAフィンガープリント法は、高分子DNAを3〜5mug必要とすることから、歯牙硬組織については必ずしも適当な方法とは言えなかった。 4.PCR法によるD4S43 LocusのVNTRの変異について:日本人131名の血液より得られたDNAを用い、D4S43 LocusのVNTRの変異について分布を調べたところ、184bpのバンドのallele頻度が最も高く約60%を示し、ヘテロ接合度は約59%であった。更にいまだ少数例ではあるが、歯髄および歯牙硬組織より得られたDNAの両者共にターゲットバンドの検出が可能であり、同一人においては、血痕、歯髄、歯牙硬組織で同様のパターンを示した。
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