1993 Fiscal Year Annual Research Report
RF波誘導加温による温熱・放射線併用療法の細胞致死効果についての検討
Project/Area Number |
05807178
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
河野 一典 鹿児島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (50108750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿辺山 和浩 鹿児島大学, 医学部附属病院, 医員
宮路 紀昭 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (60219780)
野井倉 武憲 鹿児島大学, 医学部附属病院, 教授 (40102561)
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Keywords | 温熱療法 / 放射線増感効果 / 細胞致死効果 / アポトーンス / RF波加温 |
Research Abstract |
培養細胞に対する放射線の致死作用と温熱による増感効果について調べるために、まず放射線照射と温熱処理の時間および温度との関連性について検討を行った。細胞株は、HeLa細胞の他、ヒトメラノーマ細胞HMVI、白血病細胞株M10,MT2株を用いた。 放射線照射後の温熱処理では、43℃、45℃で1時間以上の処理をおこなった場合に明らかな放射線増感作用を認めたが、41℃以下では2時間の処理においても差は認められなかった。しかし、放射線照射前に温熱処理をおこなった場合、M10株においては逆に放射線による細胞致死効果を抑える現象を示した。また、放射線と温熱処理によって起こる細胞死についてM10細胞より抽出したDNAの電気泳動によりDNA断片化がみられたが、その大きさは180-200塩基対の整数倍の長さの断片からなり、DNAがヌクレオソームで切断されるアポトーシスであることがわかった。これらの結果からは、放射線照射によるDNA損傷において、その修復機構にたいし温熱処理が大きく関連していることが示唆された。さらに細胞の核関連因子であるNFkappaBのNDAへのbinding activityについてゲルシフトアッセイを用いて調べたところ10-20Gyの放射線照射により活性の上昇がみられたが温熱処理によりこの活性が消失するという興味ある結果が得られた。NFkappaBは細胞の増殖へ向かう一つのシグナルであることはわかっている。NFkappaBとlkappaBの複合体が解離することにより核内に移行したNFkappaBがNDAと結合することで増殖のシグナル入るものと考えられている。温熱処理はこのNFkappaBとNDAとの結合を阻害することで死に向かわせるものであることが考えられた。これまでの実験結果は、恒温槽を用いた温熱処理で蟻、今後RF波加温装置を用いた実験系でその増感作用の違いについて検討していく予定である。
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