1994 Fiscal Year Final Research Report Summary
歯周病原細菌の食細胞内動態と抗体、補体の食殺菌への影響
Project/Area Number |
05807179
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
病態科学系歯学(含放射線系歯学)
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
斎藤 和子 日本歯科大学, 新潟歯学部, 教授 (30008247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 千穂美 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助手 (00147860)
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Project Period (FY) |
1993 – 1994
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Keywords | 歯周病原菌 / 多形核白血球 / 補体 / レセプター / 抗体 / 殺菌 / ヒト / マウス |
Research Abstract |
ヒト歯周炎における歯周病原菌に対する抗体価、上昇する抗体サブクラス、白血球の補体レセプターの発現状況、食菌への利用されるレセプターの型、補体、抗体、白血球の相互作用による食菌、殺菌への影響を検討し以下の成果を得た。 1.若年性歯周炎ではA.actinomycetemcomitans(Aa)に対してIgA,IgGの上昇が認められた。急速進行性歯周炎では抗体の上昇はなく、成人性歯周炎ではP.gingivalis(Pg)に対してIgGがAaに対してIgA,IgGの上昇があった。IgGサブクラスではG1とG2の上昇が患者群でみられた。 2.白血球補体レセプターの発現は末梢血白血球では患者、健常者で発現状況に差異はなかったが歯肉溝白血球においてCR1,CR3の患者での発現が高いことが明らかになった。歯周炎患者の局所白血球のCR3の高い細胞群の発現があり、この高度の発現は末梢血および健常者局所白血球のPMA処理により得られることがわかり、炎症産物による刺激の結果と考えられた。 3.Aa,Pg,F.nucleatum(Fn)の食菌の際利用する補体レセプターは、食菌時の活性酸素産生ではCR1,CR3レセプターの関与のあることが認められたが食菌ではすべてCR3が利用された。 4.食細胞内菌の動態について(1)蛍光色素による食菌の解析はFACS‐tarにより追跡可能であるが、殺菌の追跡は困難であった。(2)Aaの食菌には補体が、Pgでは抗体と補体の両者が必要とされた。(3)Aa,Pg,Fnいずれの菌においても補体、抗体によって殺菌が起こらなかった。また白血球を加えても殺菌は起こらなかった。最大限30%の減少がみられたのみであった。この実験はマウスの系においても確かめられた。 したがって歯周炎の局所において自然抵抗性、免疫機構などによる自然治癒は困難であることが示された。
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[Publications] 鈴木安里、葛城啓彰、斎藤和子: "口腔細菌の刺激によって発現する多形核白血球のヒト歯肉線維芽細胞傷害" 日本歯周病学会会誌. 35. 179-191 (1993)
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[Publications] 小松崎 明、加藤千穂美、長谷川 明、斎藤和子: "歯周病原菌に対する血清抗体価の加齢による推移と各型歯周炎患者の血清抗体価の比較" 日本歯周病学会会誌. 35. 587-604 (1993)
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[Publications] 葛城啓彰、鈴木安里、富井信之、長谷川 明、斎藤和子: "歯周炎患者(30〜35歳)におけるリンパ球サブセット、血清抗体価および多形核白血球機能について" 日本歯周病学会会誌. 35. 661-673 (1993)
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[Publications] 加藤千穂美、荻原和孝、斎藤和子: "歯周病原菌に対するヒト好中球のChemiluminescence反応と食菌能における補体レセプターの役割について" 日本歯周病学会会誌. 36. 388-398 (1994)
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[Publications] 荻原和孝、加藤千穂美、斎藤和子: "A.actinomycetemcomitans,P.gingivalis,F.nucleatumに対する多形核白血球の活性酸素産生と食・殺菌系におよぼす補体、抗体の影響" 日本歯周病学会会誌. 37. (1995)
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[Publications] 加藤千穂美、荻原和孝、斎藤和子: "歯周病原菌に対するヒト白血球の食殺菌に及ぼす補体・抗体の影響" 日本歯周病学会会誌. 37. (1995)