1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05807181
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
畦森 雅子 九州大学, 歯学部, 助手 (90136490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松家 洋子 九州大学, 歯学部, 助手 (50128097)
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Keywords | 接着性レジンセメント / 4-META / 金銀パラジウム合金 / 接着耐久性の予測 / 吸水過程 / 拡散定数 / 最大吸水量 / 応力拡大係数 |
Research Abstract |
歯科用金属と接着性レジンセメントの長期的な接着耐久性(接着寿命)を、接着剤中の水の拡散定数・最大吸水量、接着剤の応力拡大係数、および接着系の水の臨界吸水量(接着破壊が起こるときの接着剤中の吸水量)より予測する方法を確立するために以下の実験を行った。 60℃蒸留水中における4‐META系レジンセメント(スーパーボンドC&B サンメディカル)の最大吸水量(3.69×10^<-3>g/cm^3)および拡散定数(42.6×10^<-9>cm/s)を求め、これらの値とFickの拡散の式より、所定時間における接着剤中の水の濃度分布曲線を求めた。さらにcompact tension試料を用い、ASTM規格に準じて本レジンセメントの応力拡大係数を求めたところ、162.8±14.0Kgfcm^<-3/2>であった。また、サンドラスト処理をした金銀パラジウム鋳造体同志を本レジンセメントで接着後、60℃蒸留水中に3日間浸せきし、引っ張り接着強度を求めたところ、265±14.0Kgfcm^<-3>であった。以上実験的に求めた接着強度の値、応力拡大係数および接着剤中の濃度分布曲線より、臨界吸水量を求めたころ、1.47×10^<-3>g/cm^3であった。この臨界吸水量と所定時間における吸水量の分布曲線、および破壊応力(σf)と応力拡大係数(K_<IC>)との関係式:σf=K_<IC>/(Q√πa)(Q:geometry factor a:破壊時のcrack length)から、各所定時間における接着強度の予測値を求めた。この予測値の信頼性を確認するために、サンドブラスト処理をした金銀パラジウム試料接着体を60℃蒸留水中に浸せきし、0日から8週までの各所定時間における接着強度を求め、先の予測値と比較したところ、予測値と実測値との間には良好な一致性が確認された。 以上の結果より、接着性レジンセメントの最大吸水量・拡散定数および応力拡大係数と初期の接着強度から長期的な接着強度を求める方法は、接着系の接着寿命を予測する方法として有効であることが示唆された。
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