1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05807185
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
佐竹 茂樹 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (90258145)
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Keywords | 人工軟化象牙質 / 再硬化 / 再石灰化 / 硬さ-深さ曲線 / 顕微X線写真 / タンニンフッ化物合剤 |
Research Abstract |
本研究の目的は,自然う蝕に出来るだけ類似した人工軟化象牙質を作成し,この軟化象牙質を再石灰化/再硬化させる方法を確立することであるが、今回以下のことが明かとなった。 1.人工軟化象牙質の作成〓ヒト抜去歯歯頚部に数種類の酸を作用させて脱灰した後,縦断切片を作成して硬さを測定し,硬さ-深さ曲線によって比較検討したところ,フォトクリアフィルライナーボンドシステム附属の歯面処理剤CA‐AGENT(KURARAY)を72時間作用させた場合,軟化深度は約500mumで,硬さ-深さ曲線上表層では,下に凸,深部では上に凸のシグモイドカーブを描き,最も自然う蝕に近い軟化パターンを示すことが分かった。 2.人工軟化象牙質の再硬化〓上記の方法で作成した人工軟化象牙質に,再硬化が期待される数種のタンニンフッ化物含有セメントを貼布し,4週後に被験歯を取り出して硬さを測定したところ,HY‐C CEMENT(SHOFU)を貼付した被験歯において著明な再硬化が認められた。この被験歯を厚さ約100mumの研磨切片として顕微X線写真を撮影したところ,再硬化が認められた部位に一致してX線不透過性の亢進した層と,その直下に逆にX線透過性のやや強い一層とが認められた。 3.再硬化象牙質のう蝕抵抗性〓次にこの被験歯をCA‐AGENTで再度脱灰し,HY‐C CEMENTで処理して再硬化した軟化象牙質の耐酸性について調べたところ,対象群と比較して,深部への軟化の進行が明らかに抑制されており,顕微X線写真上でも明瞭なX線不透過帯が認められた。 以上,HY‐C CEMENTを軟化象牙質に貼付することにより,表層に著名な再硬化が認められると同時に,耐酸性の強い一層が形成され,さらに酸の侵襲が持続した場合でも,より深部への軟化が抑制されることが,硬さ測定及び顕微X線写真の結果から示唆され、臨床応用においてもその有用性が期待される。
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