1993 Fiscal Year Annual Research Report
新型医薬品の創製を志向した求電子的不斉フッ素化試薬の開発
Project/Area Number |
05807199
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
竹内 義雄 富山医科薬科大学, 薬学部, 助教授 (20111750)
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Keywords | 求電子的フッ素化 / 複素環 / 不斉合成 / 面選択性 / α-アミノ酸 / フッ化過クロリル / 新型医薬品 / フッ素ガス |
Research Abstract |
新型のフッ素化試薬Aの分子設計にあたっては次のことを考慮した.先ず,その平面性の故に高い面選択性が期待される5員環構造に着目し,窒素原子に隣接する電子求引基としてカルボニル基を選んだ.また出発原料としては,対応する光学活性体の入手が容易であることからα-アミノ酸を選択した.(R)-フェニルグリシンおよび(R)-システインエチルエステルにホスゲンを作用させて1および3を得た.これらのアミド体をNaHで処理して対応する塩とし,フッ化過クロリル(FClO_3)を導入する方法によりN-フルオロ体2および4の合成を試みたものの原料回収であった.NaH処理の段階で水素の発生が確認できたことから,これらのフッ素化が不成功に終った原因は窒素原子上の電子密度が低すぎた点にあると考え,次にラジカル様式のフッ素化を検討した.1または3のCFCl_3/CHCl_3=1の溶液中に,-78℃にて10%F_2/Heガスを導入する方法によりフッ素化を試みたが,多数の成績体の中に目的物の存在を確認するには至らなかった. そこで窒素上の電子密度がより高いと考えられる化合物5に着目し,メルカプト酢酸とトベンズアルデヒドを反応させる方法で5を合成した。5に対してフッ化過クロリルまたはフッ素ガスを用いるフッ素化を試みたものの,この場合も目的のフッ素化体6は得られなかった. 以上の結果,窒素にカルボニル基を隣接させたカルボアミド構造ではフッ素原子の導入が困難であると結論付けた.現在,他の電子求引基が導入された系でのN-フッ素化を検討中である.
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