1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05807200
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
山口 健太郎 昭和大学, 薬学部, 講師 (50159208)
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Keywords | 電子衝撃 / 有機反応 / 気相反応 / 反応機構 / 熱電子 / 反応装置 |
Research Abstract |
従来電子衝撃による有機反応はマススペクトルを中心として理解されてきたが,本研究は直接電子衝撃を有機化合物に与え励起する反応装置を試作し,これによる反応生成物を補足し,その反応機構を検討し,同時に有機合成化学へ応用することを目的としている.更に,これら有機化合物の気相反応の他,電子衝撃を励起手段に用いる固相反応に関しても興味あるところである.本年度は,すでに試作研究を進めている電子衝撃気相反応装置に関し,改良を行ないその性能を向上させることから本研究に着手した.構造上の問題点で解決しなければならない第一のものは,電子衝撃反応点近傍の温度上昇に関してであった.本反応装置は気体試料の通過する内管に窓を設け,そこに熱電子流を通して気体分子を直接励起する構造であるが,熱電子を発生させるフィラメントが内管に接近しているため局所的にかなりの高温となっている.励起過程の検討と言う面から考えても熱による励起が電子衝撃による励起に優先しているとの指摘を免れない.そこでこれを回避するためフィラメントの設置位置および冷却手段につて検討した.フィラメントを内管から離すと電子流の減衰が著しくまた,設計上の問題で大きく移動させることは不可能であった.そこで電子流発生ブロック全体を外部から液体窒素で冷却する手法をとった.これにより内管の局所的温度上昇を防ぐことができた.次に本装置により電子衝撃励起の一つの指標として用いているanisoleの転移反応について検討した.この結果,イオン化ポテンシャルエネルギー50eV,流速0.25mmol/minのとき最も効率良く転移反応が進行し,phenol(7.9%),o-cresol(6.0%),p-cresol(2.8%)をGC/MSにより確認した.尚,このときの原料回収率は72.7%であった.
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Research Products
(1 results)