1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05808040
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 早苗 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70127611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 公孝 九州大学, 核融合科学研究所, 助教授 (50176327)
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Keywords | 高温プラズマ / 構造分布 / L / H遷移 / 異常輸送 / Hモード / 動的特性 / 過渡応答 / 揺動散逸 |
Research Abstract |
本年度は、研究の進捗が予定以上にあった。二年計画の研究内容の半分以上をこなして、順調に論文として出版されている。以下にその実績を記す。 研究目的の[1]として、「低周波揺動を素過程として考えた場合の輸送の定式化を、従来取り入れられていなかった電場や速度勾配を入れて、輸送行列を第一原理から求める。」事を挙げた。これに対し、低周波揺動を素過程とし、その非線形性(プラズマ渦の相互作用と散逸効果)を輸送係数として繰り込み、散逸輸送を含む形でのモードのバランス(安定性)を得るという新しいアプローチを構築できた。これによる異常輸送の理論モデルは、高温プラズマの閉じ込め特性を良く説明できると期待されている。目的の[4]として挙げた「実験解析との比較研究による理論モデルの改善、及び繰り込み理論を導入して、理論の体系化をはかる。」についても成果、実績を挙げる事ができた。(成果報告書出版文献参照) 目的の[3]であり、今年度の主目的とした「構造の動的特性について解析を行なう。」については、異常輸送の中での遷移現象(L/H遷移)後の動的特性を中心に、その非線型応答として解析を行なった。H相という部分的に遷移した層が、L層に接触している非線型媒質としてとらえる描像を提案している。モデルに基づいた解析研究を行ない、論文として発表した。また、このモデル理論の一部を確認する実験結果も、ASDEX-Upトカマク装置でなされ(Max-Planck研究所)、PRLに極最近に掲載された。モデル理論の妥当性が認められつつある。 以上の理論研究とその実験との比較研究の結果から推察すると、この異常輸送の理論体系は、プラズマの本質的なものを描くことができる可能性がある。本年度は、更に研究を深め、より良い理論体系の構築を目指す。
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