1993 Fiscal Year Annual Research Report
プラナリアの全能性細胞の培養と培養細胞から個体を形成する試み
Project/Area Number |
05808070
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
阿形 清和 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (70167831)
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Keywords | プラナリア / 再生 / 全能性細胞 / 細胞培養 |
Research Abstract |
プラナリアの細胞をEDTA・トリプシンで解離した後、培養を試みたが、細胞は培養翌日から崩壊しはじめた。実験当初においては、培養液の問題だろうと考え、浸透圧や培養液の組成、それに牛胎児血清の添加量等を変えて培養を試みたが、どの場合でも解離された細胞はシャーレに付着することなく培養翌日から崩壊しはじめた。 一方、プラナリアの細胞培養には、プラナリア純正のプラナリア抽出液が不可欠かもしれないので、プラナリア抽出液の調製を試みていたが、ここで意外なことが明らかになった。動物の培養細胞にプラナリアの抽出液を加えると、どの細胞も数時間後には培養シャーレからはがれて崩壊していくことが観察された。プラナリアは動物細胞に対する毒をもっていると考えられたが、種々の実験から、この毒成分はコラーゲナーゼ活性を含む内在性のプロテアーゼと考えられた。プラナリアの細胞培養がうまくいかないのは、解離過程で放出されたプロテアーゼで細胞表面さらに細胞そのものが消化されてしまったせいではないかと考えられた。 そこで、細胞の解離条件の検討を行った。その結果、Ca^<2+>イオン存在下で解離すると、細胞の解離の程度が軽減され、特に繊毛上皮が単一細胞に解離されずに、数百の細胞が接着したままのシート状に解離されるようになり、それをさらに培養すると、袋状の構造をとるようになってゾウリムシのように培養液中を泳ぎまわるのが観察されるた。また、細胞の解離にはある程度内在性プロテアーゼをきかせることが必要であるが、その後は素早くプロテアーゼを除去することが解離の際のポイントであることがわかった。このような方法をとることによって、初めてシャーレに接着する解離細胞が調製できるようになった。
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