1995 Fiscal Year Annual Research Report
成体の海馬体で新たに付加される神経回路の解析-胎仔型の神経細胞接写区因子を分子マーカーとした解析-
Project/Area Number |
05808071
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Research Institution | Juntendo University School of Medicine |
Principal Investigator |
石 龍徳 順天堂大学, 医学部, 講師 (20175417)
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Keywords | 海馬 / 神経細胞接着分子 / 神経発生 / グリア |
Research Abstract |
成体ラット歯状回で新生した顆粒細胞が発達する時には、その細胞表面に胎仔型の神経細胞接着因子(NCAM-H)が特異的に発現する。本年度は歯状回顆粒細胞層に存在するNCAM-H陽性顆粒細胞の樹状突起の発達と放射状グリアとの関係について調べた。NCAM-H陽性顆粒細胞は成体の歯状回顆粒細胞層の最内側にある前駆細胞から分化した発達中の未熟な神経細胞である。ここには興味深いことに胎生期の大脳皮質で見られる放射状グリアが存在する。胎生期の大脳皮質ではこの放射状グリアが神経細胞の移動の足場になっている。そこで顆粒細胞の樹状特記の発達するときには、足場としてこの放射状グリアが働き、樹状特記の分枝やシナプス形成を調節しているのではないかという仮説を立てた。 生後35日から1年半までの様々な年齢のラットについてNCAM-H陽性の樹状突起と放射状グリアの突起の数を調べたところ、両者の突起は年齢とともに減少することが明らかになった。た。また、共焦点レーザー顕微鏡や電子顕微鏡で両者の突起を観察したところ、これらの突起はしばしば互いに接触していた。以上の結果から、NCAM-H陽性の発達中の顆粒細胞の樹状突起が放射状グリアの突起に接触しながら発達する可能性が考えられる。
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