1994 Fiscal Year Annual Research Report
グリア細胞の機能と特異タンパクの役割(特に神経回路形成期における)
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05808077
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
栗原 正 創価大学, 生命科学研究所, 教授 (50018800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西郷 薫 東京大学, 理学部, 教授 (50136454)
服部 和枝 創価大学, 生命科学研究所, 講師 (70228485)
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Keywords | 遺伝子発現 / グリア細胞 / オリゴデンドロサイト / CNP / 胎生期 / マウス / 選択スプライシング / RT-PCR |
Research Abstract |
本年はマウス胎生期の脳で2′,3′-環状ヌクレオチド3′-フォスフォジエステラーゼ(CNP)遺伝子の発現を調べた。我々はすでに、CNP遺伝子がオリゴデンドログリアに特異的に発現し、ミエリン形成の最盛期にmRNAの発現がピークに達することを報告した。我々はまた、マウスCNP遺伝子から選択スプライシングにより5′端の異なる2種のmRNA(mRNAIとmRNAII)ができ、これらのmRNAからN端の異なる2種のポリペプチドが翻訳されることを明らかにした。今回我々は、CNPがミエリン形成以前の早い時期の脳の分化にも関与している可能性を考え、感度の高いRT-PCR法によりマウス胎生期の脳で上述の2種のCNP mRNAの発現を検索した。マウス脳を各発育段階で取り出してRNAを調製し、oligo dTを用いてRT反応を行なった。次に、2組のプライマーを用意し、PCRでmRNAIの配列530塩基とmRNAIIの配列420塩基を増幅させた。今回のRT-PCR法で新たに以下のことが明らかになった。1)CNPのmRNAは低レベルながらマウス胎生期を通して(少なくとも検索した胎生11日以降)脳に存在する。2)胎生期ではアダルトと同様にmRNAIIの方が多く発現している。3)マウス胎生期の脳で発育に伴う変化を見ると両mRNAとも胎生16日付近にピークがある。CNPはミエリン形成とは別にこのような早い時期の脳の分化にも関与している可能性が示唆された。
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[Publications] 笠間弘美: "マウス胎生期の脳における2′,3′-cyclic-nucleatide 3′-phosphodiesterase 遺伝子の発現" 神経化学. 33. 156-157 (1994)
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[Publications] 小嶋久子: "Prenatal ethanol exposure affects the activity and mRNA,expression of neuronal membrane enrymes in rat offspring" Life Sciences. 55. 1433-1442 (1994)