1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05832002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
久保 雄志 筑波大学, 社会工学系, 教授 (90143156)
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Keywords | 発展途上国 / 成長要因 / 人的資本 / 物的資本 / 実証分析 / 教育投資 / 内生的成長 |
Research Abstract |
本年度は内生的成長モデルに基づいた実証分析をさらに押し進めた。途上国関係のデータを、世界銀行らの新しいデータを含めて整備し直し、データセットの刷新を行った。人的資本投資のデータを再吟味すると共に、先行研究で用いられたデータセットも補助資料として分析に加えた。途上国78カ国を含むクロスセクション分析では、データの均一性をテストした後、統計的手法を用いてサンプルを細分割し、成長要因の把握を精緻化した。得られた主要な知見は、途上国は経済構造の面から大きな差異があるので、一体として扱うべきではないこと、物的資本はいずれのグループの成長にもプラスの効果を持つが、人的資本蓄積は低所得国では成長にプラスの効果を持たず、プラスの硬化は中所得国、高所得国に限られること、中所得国では人的資本の成長への効果が物的資本のそれを上回るので、投資配分を人的資本にシフトすることにより、より高い成長を達成することが可能であること、などである。先行研究のデータを用いた研究でもこの結果を支持する結果が得られた。新しい結果をまとめた英文論文は、Asian Economic Journalに条件付きで受理されており、改定後刊行される予定である。また、同様のデータソースに基づいて、経済成長と輸出および輸入の因果関係を統計的に分析した論文が研究補助者によって執筆されている。
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