1994 Fiscal Year Annual Research Report
ユ-ゴスラヴィアにおける共和国・自治州間の経済的諸関係と地域経済に関する研究
Project/Area Number |
05832003
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小山 洋司 新潟大学, 経済学部, 教授 (40036588)
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Keywords | ユ-ゴスラヴィア / 連邦 / 共和国 / 自治州 / 低開発地域開発促進ファンド / 援助 / 直接投資 / 1974年憲法体制 |
Research Abstract |
第1に、「低開発地域開発促進ファンド」(FAD)について研究した。ユ-ゴスラヴィアでは分権化が進められた結果、連邦は経済面での権限の大部分を失った。しかし、共和国・自治州間の経済的格差を縮小するために、1965年に連邦レベルにFADが設けられた。各共和国・自治州は分担金として社会的生産物(GDPにほぼ匹敵する概念)の1.97%相当の資金をこのファンドにプールし、ここから長期にわたって低利で低開発地域に融資された。実質的には経済的に豊かな北の共和国・自治州(スロヴェニア、クロアチア、ヴォイヴォディナ)からの南への援助であった。1981-85年に最大の援助を受けたのはコソヴォ自治州であった(全体の42.6%)。非生産的投資にかなりの援助資金が用いられていたという配分基準上の問題がある。また、生産的投資も資本係数の高い施設に向けられたので、現地での雇用の拡大につながらなかった。より深刻な問題は低開発地域の人口増加率の高さであった。それゆえ、FAD資金は地域間の格差是正には有効ではなかった。 第2に、直接投資について研究した。先進地域はFAD資金による援助よりも低開発地域への直接投資の方が重要であると主張してきたが、先進地域からの直接投資はなかなか進展していない。それた、自主管理の徹底化をめざす1974年憲法体制が資本の自由な移動を妨げていたからであった。 こうして、FADにたいして北および南の両方の共和国(自治州)から不満が高まっていき、ユ-ゴ連邦の一体性はこの面でも揺らぎだしたことが確認された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小山 洋司: "旧ユ-ゴスラヴィアの1974年憲法体制" 新潟大学経済学年報. 18. 67-90 (1994)
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[Publications] 小山 洋司: "ユ-ゴ自主管理社会主義の統括" 社会主義経済学会研究年報. 19. 76-81 (1994)
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[Publications] 小山 洋司: "Selt-Managing Socialism:Regime of the 1974 Constitution in Former Yugoslavia" 新潟大学経済学部, 102 (1995)