1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05832005
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
荒木 武司 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (20116148)
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Keywords | 中国社会主義 / 中国経済改革 / 中国企業調査 / 中国国営企業 / 「小共同体」企業 / 「単位体制」社会 / 中国都市住宅制度 |
Research Abstract |
中国国民経済の基礎的構成単位をなす国営企業は,経済的機能を遂行するだけでなく,きわめて広範な社会的・政治的機能(住宅・医療・教育・社会保障の供与等)を果たしている。このような中国国営企業に特有な構造的性格を,経済改革との関連において考察することが,本研究の目的である。 そのために本研究者は,平成3年度文部省在外研究員として中国・北京大学に派遣された折り,従来からの研究課題を継承・発展させ,80項目に及ぶ独自の「中国企業状況調査表」を作成し,中国沿海地方(14都市33地点)の企業調査に多大の準備と労力を費やした。したがって,上記研究目的および企業調査をふまえた上で,研究期間全体にわたる研究計画としては,以下の項目を課題としていた。(I)調査表・テープ・ノート等在外研究時における研究成果・諸資料の翻訳・整理(II)本研究課題に関連する自他の研究成果の整理・発展(III)上述(I)(II)をふまえた研究報告資料集の刊行。 初年度(平成5年)研究実施計画の中心は,(I)の課題を重点とする企業調査表・録音テープ・ノート・企業側パンフレット等の,基礎的で直接的な見聞材料・諸資料の翻訳・整理にあった。このうちテープおこしについては基本的に完了し,翻訳についてはなお続行中であり,また企業パンフレットおよび関連資料等の収集・整理についても大きな進展をみた。さらに(II)の課題の一環として,「中国における都市住宅制度の改革」(京都大学経済研究所定例研究会および社会主義経営学会関西部会)を報告している。 その結果,なお中間的な仮説設定段階にすぎないとはいえ,研究担当者の問題意識と当初予測にあったとおり,中国国営企業は「小共同体」企業・「単位体制」社会の構造を示しており,しかもその基本型は,経済改革の中でも依然として維持・延命されていると認められた。
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