1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05832012
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Research Institution | Osaka International University |
Principal Investigator |
山本 勇次 大阪国際大学, 政経学部, 教授 (50114806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 右一 長崎大学, 教育学部, 助教授 (60128171)
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Keywords | カースト階級 / 経済的階級 / 資産係数 / 貧困 / 発展途上国 / ネパール / ポカス市 / データベース |
Research Abstract |
ポカラ市の現状から、そこの敷地と農地の市場価格比率を3対2として、各世帯の敷地・農地の所有面積から「資産計数」を算定した。この資産計数に基づき、全世帯を「貧困階級(計数2未満)」、「中産階級(2以上20未満)」、「富裕階級(20以上」と操作定義をして、ポカラの世帯毎の経済的階級構造を特定した。その経済階級構造を階層化した視点からカースト別の相対的特徴を見てみると、以下の諸特徴が明瞭になった。 【.encircled1.】最上位のカーストであるブラーマンとチェットリは、他のカーストと比較して、「富裕」に属するものが最大になり、「貧困」が最小となる。【.encircled2.】それに対して、不可触民カーストであるダマイ、カミ、スナール、カサイ、ミヤ、サルキ等は、いずれもが「貧困」での比率が最大になり、「中産」は少々みられるものの、「富裕」は皆無である。【.encircled3.】「マトワリ」と呼ばれるグルン、マガール、ボテ等はカースト階級の中程に位置づけられるが、それらの経済的特徴はどちらかと言えば、不可触民カーストに似た傾向が見られる。しかし、少数ながら「富裕」が見られるのが、不可触民との大きな相違であろう。【.encircled4.】同じ「マトワリ」の中でもネワールとタカリは上記のマトワリ達とは著しく異なった特徴をもつ。これらは、「富裕」、「中産」に属する数も多く、換言すれば、同一カースト内での経済階級的格差が一番大きい特徴を持っていると言えるであろう。 以上の諸点から、我々の今年度の研究成果として、ネパールのポカラ市の経済的階級構造が現在時でもなお、基本的に歴史的なカースト的階級構造に規定されていることを数量的に実証出来たものと思われる。
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Research Products
(1 results)