1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05833001
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邊 誠一郎 名古屋大学, 理学部, 助手 (50230967)
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Keywords | 太陽系形成論 / 原始惑星系円盤 / 原始太陽系星雲 / 乱流 / 塵微粒子 / 微惑星 / 惑星集積過程 |
Research Abstract |
太陽系の母胎となった原始太陽系星雲の乱流状態を明らかにし、その中でのダストの成長を計算した.その中で,以下に述べるように星雲の内縁付近から吹き出す双極分子流の果たす役割が大きいことが明らかになった.双極分子流のメカニズムとしては,中心星が持つ磁場が自転とともに回転することにより,降着物質の一部を遠心力で外向きに飛ばすことが考えられる.星雲中のダストはガスに角運動量を受け渡すことにより,乱流状態のディスク中を内側に向かって移動するが,中心星と共回転するディスク中の領域(X領域)まで達するとそこに濃集する.X領域の温度は1500K前後と推定され,そこでダストは部分蒸発を経験する.このダストの一部は双極分子流に乗って外側に吹き飛ばされる.このときダストの質量によって分別が起こり,数mm以上に成長したダストはX領域から飛ばされず最終的には中心星へと落下する.一方,一旦飛ばされたダストも数μmより大きなものは再びディスクに再落下することになる.ダストの再落下する位置はサイズが小さいほど遠方になる.双極分子流中でダストは急冷されるが,数密度は小さいため成長はほとんど起こらない.以上,本研究で得られたダスト成長のシナリオは,始源的な隕石中のコンドリュールやCAIのサイズ分布,残留磁化,蒸発変成,異なる温度を経験した粒子の混合などの特徴と整合的である.よって今後は,双極分子流とディスクとの相互作用やFU Ori型の時間変動まで考慮に入れた,より精密なシミュレーションを行い,惑星材料物質の初期分布を明らかにしたい.
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