1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05833003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松井 孝典 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80114643)
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Keywords | 探針法 / 熱伝導率測定 / 月面疑似物質の熱伝率 / ガラスビーズの熱伝導率 / 火星表層疑似物質の熱伝導率 / 火星表層環境 / 火星の熱流量測定 |
Research Abstract |
本研究の目的は探針法(needle probe method)による粉体の熱伝導率測定装置を開発、製作し、それを用いて予想される火星表層環境下における火星表層疑似物質の熱伝導率を測定することにある。初年度にあたる今年度は測定装置の製作と、それを用いて標準試料の熱伝導率を測定し、この装置による測定制度の検討を主として行った。 標準試料としては粒径400、200、100、50ミクロンのガラスビーズを用いた。各サイズのビーズ試料について測定は温度一定の下で、二酸化炭素ガスの圧力を10ミリバーレル程度から10万ミリバール程度まで変化させ、熱伝導率の圧力変化を測定した。測定結果は低圧化での試料の固体熱伝導率による値から高圧下での、二酸化炭素の気体運動による熱伝導率によって決められる値へと系統的に変化し、火星大気下でこの間の遷移が生じることが示唆された。測定精度検討のためMasamune & Smith(1963)の理論に基づいて、測定されたガラスビーズの空隙率条件下で、その熱伝導率を計算し、その結果と測定結果を比較した。測定結果は理論的に予想される変化ときわめてよく一致することが確かめられた。なお測定結果を線状熱源法を用い同様のガラスビーズについて測定したPresley & Christensen(1993)の速報と比較すると、ほぼ同様の変化を示すことがわかる。但し彼らの測定条件の詳細がわからないため完全な比較は現時点では行えない。また探針法によりHorai(1981)により測定された月面疑似物質の値と比較するため、同じ月面疑似物質について測定した。両結果の一致から製作された装置の測定精度は充分であることが確かめられた。
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