1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05833003
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
松井 孝典 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80114643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宝本 帰一 東京大学, 気象研究所・地震火山研究部, 研究部長
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Keywords | 熱伝導率 / 粉体 / 火星 / 粘土鉱物 / 火星探査 / 地殻熱流量 / 火星表層環境 |
Research Abstract |
昨年度組みたてた探針法粉体熱伝導率測定装置を用いて以下の試料について熱伝導率を測定した:(1)ガラス・ビーズ、(2)粉体の粘土鉱物試料としてモンモリロナイト、(3)ドライアイス。ガラスビーズは粉体の熱伝導率の圧力依存性についての解釈のため、及び他のグループによる測定結果との比較のために測定した。なおモンモリロナイト、ドライアイスは火星表層物質として代表的と考えられている物質である。 ドライアイスについては粉体試料の作成が困難でその物理的状態を特定して測定することが難しく、その測定結果がばらつき今年度内に意味のある結果は得られなかった。モンモリロナイト粉体については温度210Kから295Kの各温度下で、その圧力変化を10Paから100000Paの間で測定した。 ガラスビーズについて常温下で同様の圧力変化を測定し、その結果を理論的に解釈することを試みた。粉体の熱伝導を、(1)気体中を伝わる熱伝導、(2)気体を固体層が直列的に並んでいるとしてそこを伝わる熱伝導、(3)固体の粒子間の接触面を通じて固体中を伝わる熱伝導の3成分の和として表わし、そのそれぞれの寄与を決めるパラメーターを測定結果によく合うよう求めた。なおガラスビーズの測定結果は同様の試料についてその熱伝導率の圧力依存性を測定したPresley & Christensen(1993)の結果と良い一致を示す。 ガラスビーズについて上記のモデルで粉体の熱伝導率の圧力依存性が説明できることを確かめ、それを用いてモンモリロナイト粉体の測定結果を整理した。その結果火星表層環境下でのモンモリロナイト粉体の温度、圧力変化を表す熱伝導率k(W/mK)の経験式として次式が求められた。 ここでkg(T)は気体の熱伝導率、なお固体粒子の熱伝導率としては1W/mKを用いた。
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