1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05833006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中澤 清 東京工業大学, 理学部, 教授 (10025455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 圭史 山形大学, 理学部, 助手 (00250910)
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Keywords | 太陽系形成 / 京都モデル / 木星型惑星 / 原始大気 / 微惑星集積 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、太陽系形成の標準モデル(京都モデル)に立って、(1)原始惑星をとりまく原始大気の力学的安定性を調べ直し、(2)安定性を失った後の大気構造の進化を追跡し、更に、(3)原始惑星重力圏外からの星雲ガス流入の動的振る舞いを調べること、によって、木星型惑星の形成過程とその基本的性質のルーツを明らかにすることであった。 この内、本年度に達成すべき目標としては上記(1)、(2)を設定した。(1)については当初目標をほぼ達成し、また(2)については現在数値シミュレーションを実行中で、最終的な成果が出るまであと一歩の状況にある。具体的には各々以下の通りである。 (1)原始大気の力学的安定性 原始大気構造を支配する最も重要な物理過程は微惑星集積エネルギーの解放過程にある。そこで、これまでの研究では全く考慮されていなかった集積微惑星の大気との摩擦によるハガレ及び蒸発過程をとりいれ、エネルギー解放を見積もって原始大気構造を解くと同時にその安定性を調べた。その結果、大気が安定な状態にある原始惑星の最大質量(臨界質量)が、これまでMizunoによって見積もられたものの1/4〜1/5と極端に下がることを見出した。このことは原始木星のガス捕獲がこれまで考えられていた時期よりはるかに早い段階で始まることを意味しており、惑星形成シナリオ全体を左右する重要な結果を与えたことになる。 (2)不安定原始大気の進化 原始惑星の質量が臨界質量を超え、大気が安定性を失った後、大気の収縮が起こると予想される。この大気の重力的収縮を数値的に追うための数値コード開発はすでに終わっているが、吸収係数など補助的なパラメータの設定に手間どり、現在やっとシミュレーションに入れる段階に達した。それ故、今年度から来年度にかけ、結果を出せるものと考えている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.OHTSUKI,S.IDA,Y.NAKAGAWA,& K.NAKAZAWA: "Planetary Accretion in the Solar Gravitational Field" Protostars and Planets. III. 1089-1107 (1993)