1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05835007
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
藤原 宏志 宮崎大学, 農学部, 教授 (40040860)
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Keywords | プラント・オパール / 縄文時代後期 / 南溝手遺跡 |
Research Abstract |
縄文時代晩期後葉における稲作の存在はイネ遺物(イネ籾、イネ籾痕、イネのプラント・オパールなど)や水田遺構の検出により疑う余地を残さない状況になった。これに対して、縄文時代晩期中葉以前の稲作有無についてはイネ遺物の出土例が散見されるものの、水田址などの遺構は認められず、確かな結論を得るに至っていない。 イネ遺物の多くは土壌中に埋入されており、土壌の二次的移動にともない遺物も移動する可能性を内在している。土壌中に含まれるプラント・オパールもこの例に洩れない。 土器胎土に含まれるプラント・オパールは当該土器が製作される際用いられた材料土に含まれていたものと考えられる。イネ(Oryza sativa L.)は外来植物であり日本列島には存在しないと考えられているので、イネのプラント・オパールが土器胎土から検出されれば、少なくとも、その土器が製作される以前にイネが導入されていた証拠になる。このよ この方法により、熊本:上南部遺跡から出土した上ノ原式土器(縄文時代晩期前葉)、岡山:南溝手遺跡から出土した福田KIII式土器および岡山:津島遺跡出土の彦埼KI-KII式土器(ともに縄文時代後期中葉)からイネのプラント・オパールが検出された。 これらのイネはわが国へ水田稲作が伝えられた縄文時代晩期中葉より約1000年遡る縄文時代後期中葉以前に生産されたものであることは疑いなく、その生産様式はおそらく焼畑であったと考えられる。
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