1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05835011
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Research Institution | College of Liberal Arts, International Christian University |
Principal Investigator |
堀内 晶子 国際基督教大学, 教養学部・理学科, 講師 (60052289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 信行 国際基督教大学, 教養学部 理学科, 講師 (30095674)
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Keywords | 脂質 / 化学分析 / 土器 |
Research Abstract |
昨年度、我々は、植物由来の脂質が土器に吸着された際、回収された脂質の分析から、はたして、元の脂質が認識できるかどうかの基礎実験を行った。今年度問題となった実験結果の信頼性の問題の解決と、回収実験の際に影響を及ぼすと考えられる二種類の要因の検討を行った。すなわち、1,脂質と土器の相互作用を脂質の濃度を変える事によって変化があるかどうかを見る。2,土壌の影響を時間を覆って検討し、空気中に放置された時と比較する。 脂質と土器の相互作用は、単位土器当たりの脂質量が少ないほど、譜飽和成分が減少することが分かった。譜飽和成分は飽和成分と比べ不安定である為、土器の構成成分によっても分解されてしまうことが示唆された。 土壌の影響を調べるため、オニグルミから抽出した油を土器モデルに吸着させ、土壌中、地表から約20cmの深さに埋蔵し、時間を追って回収した。脂質の回収率は、埋蔵後、約2週間で総量の約40%にまで急激に減少するが、以降、減少率は緩やかになる。約15週を過ぎると、ほぼ10%と一定になり、実験を行った30週まで続いた。空気中に放置した場合、脂質回収率は減少するものの、約2週間たっても80%前後の値を保ち、土壌が回収率に大きなの影響を及ぼしている事が明らかになった。脂質が流失された場合を考慮し、土器周辺の土壌を分析したが、脂質は確認できなかった。さらに、回収された脂質の組成を調べた所、時間を経るごとに、不飽和成分、特に二重結合を3つ含むリノレン酸と主成分で二重結合を2つ含むリノール酸の減少が著名であることが分かった。
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