1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05835012
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
村井 不二子 昭和女子大学, 文学部, 教授 (20054132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷井 淑子 昭和女子大学, 短期大学部, 講師 (10095929)
菊地 美知子 昭和女子大学, 短期大学部, 講師 (00054172)
小原 奈津子 昭和女子大学, 生活科学部, 助教授 (90178301)
日野 伊久子 昭和女子大学, 生活科学部, 教授 (60146909)
桜井 清彦 昭和女子大学, 文学部, 教授 (60063195)
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Keywords | アイヌ衣服 / 蝦夷錦 / 山丹服 / 打敷 / 金糸 / アイヌ風俗画 / 蝦夷島奇観 / 妻沼コレクション |
Research Abstract |
本年度は、アイヌ衣服のうち山丹服に焦点を絞り、北海道開拓記念館が収蔵している5点について調査研究を行い、下記の知見を得た。 このコレクションの中で服は13点あるが、模様・形等多様性を示し、大陸の資料との比較が不可欠で、そこから年代の判別等考慮されるべきと思われ、今後のさらなる調査研究が必要である。形状では、筒袖で裾の長い胡服状の袍服、広袖で短い身丈の襖子の2種類からなる。寸法では、首回りが35.5〜41.0cmと小さいのが特徴である。縫製は、平縫いの袷仕立てである。資料は官服とみられ縫合、始末ともに丁寧で格調高い技法である。 模様の表現は、3点が刺繍で、2点は織りの技法となっている。刺繍は絽刺しと平縫いを主体とした中国刺繍である。織りは、つづれ織りと緯うね織りに金糸で龍の模様(縫い取り模様)を織り込んだものである。龍の模様は前後身頃とも正面向きのものを使っている等、種々の特徴がみられる。 資料の表地は、模様部分を数種の色糸を使って織り表した絹織物である。糸の見かけの直径は、0.29〜0.93mmで、模様の図柄に合わせて糸の太さが工夫されている。金属糸は撚金、平金が意匠的に用いられている。地組織は平織り、変化平織り、朱子織り、からみ織りが見られる。 保存状況は、極めて良好なものから、着用したためついたと思われる汚れ、裾部の汚れ等各種見られる。来歴が定かでないものが多く、抽出分析もできないため、その汚れの正体をつかむのは困難であるが、一部の汚れからカビが検出され、ここにいたる保存環境も様々あったと思われる。
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