1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05835012
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Research Institution | SHOWA WOMEN'S UNIVERSITY |
Principal Investigator |
村井 不二子 昭和女子大学, 分学部, 教授 (20054132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷井 淑子 昭和女子大学, 短期大学部, 講師 (10095929)
菊地 美知子 昭和女子大学, 短期大学部, 講師 (00054172)
小原 奈津子 昭和女子大学, 生活科学部, 助教授 (90178301)
日野 伊久子 昭和女子大学, 生活科学部, 教授 (60146909)
桜井 清彦 昭和女子大学, 文学部, 教授 (60063195)
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Keywords | 北海道開拓記念館 / 山丹服 / 補服 / 龍紋服 / 蠎袍 / 縫製 / 金属糸 / 保存状況 |
Research Abstract |
本年度は、北海道開拓記念館の山丹服を中心に、文化史、服飾、保存科学等多方面から考察を行い、その特徴を明らかにすることに努めた。その結果を以下に記す。 服飾の面からは、次の点がまとめられた。形状は、服種によって異なる。補服、龍紋服(龍袍)、蠎袍の多くは右衽、曲襟、筒袖(馬蹄袖もあり)で裄は200cm前後もあり、着丈けも140cm位で長い。襖子は前中央明き、詰襟、広袖で、着丈けは115cm位。満州服は他の形態と異なり、着丈は87cmとなっている。縫製はきわめて細緻で、並縫い、半返し縫い、本返し縫い、かがり縫いまつりぐけなどの手法が見られた。縫い糸も用布と同質、同色を用いている。 山丹服には金属糸が多用されている。この金属糸をSEM-EDSで元素分析し、X線回折法でその結晶構造を調べた。その結果金が主成分のもの、銀が主成分のもの両方の組成を持つ金属箔が用いられていることが判明した。またヘマタイトに由来する鉄成分が検出され、これは赤うるしの顔料からのものと思われる。 衣服の保存状況を詳細に調べていくと、展示によって劣化が促進されたと思われるものが、散見された。今後の保存を考える上で、多くの示唆を与えてくれた。 また、収蔵されている博物館の環境調査(NO_2,アルカリ度,粉塵等)も併せて行い保存状況を検討した。この結果本博物館はきわめて清浄な、理想的な空間を維持していることが判明した。ただ、粉塵においては、特別展等の入館者が多数入る時は要注意であることは言うまでもない。
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