1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05835019
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
田口 勇 国立歴史民俗博物館, 情報資料研究部, 教授 (50192159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 努 国立歴史民俗博物館, 情報資料研究部, 助手 (50205663)
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Keywords | 古代刀 / 製鉄原料 / 製鉄技術 / 鍛造技術 / 自然科学的研究 / 蕨手刀 |
Research Abstract |
1)古代刀の調査 日本の代表的な古代刀の一つである蕨手刀については、これまで調査が本格的に行われていなかった。そこで、その所蔵場所,発掘時間,形状,寸法,保存状態などについての調査を開始した。本年度は宮城県,岩手県などの東北地方を中心として、25本の現地調査を行い、結果をまとめた。 2)古代刀の自然科学的研究 古代刀の研究方法がまず確立していなかったので、新たに、微量元素分析方法としてグロー放電・質量分析方法を、ミクロ非破壊観察分析方法としてX線マイクロアナライザー付き大資料室走査型電子顕微鏡を使用する方法を研究、確立して、適用した。以上の方法などで蕨手刀中の微量元素、金属組織、酸化系介在物などについて自然科学的に研究した結果、蕨手刀の原料は砂鉄ではなく、塊状の鉄鉱石が多く使用されたことを見いだした。この塊状鉄鉱石としては、この地方特産の餅鉄と呼ばれている円〓状磁鉄鉱(磁鉄鉱が川の流れなどによって角が取れて丸みを帯びたもの)を特に調査した。 3)古代刀の製造技術の再現実験 平成6年6月26、27日に、岩手県大東町大原において、刀匠菅原平氏のご協力を得て、鉄製製鉄炉を使用し、蕨手刀の再現実験を実施した。上記の餅鉄23kgとほぼ同量の木炭を交互に入れ、約1300℃で約3時間かけて、第一次の還元鉄を得、再溶解後、鍛造し、研磨し、刀を造った。この刀の肌は蕨手刀の肌に似ており、その中の酸化物系介在物も蕨手刀のそれに似ていた。製造した刀、製鉄原料、スラグなどについての、微量元素分析などの自然科学的研究は現在、実施中である。
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