1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05836001
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
川島 利器 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (90133793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯田 広史 室蘭工業大学, 工学部, 助手 (00232372)
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Keywords | 硝酸希土類結晶 / 疑似安定状態 / 非線形現象 / 時系列解析 / 1 / fノイズ / 経時変化 |
Research Abstract |
硝酸希土類結晶は10℃から-45℃の温度領域に本質的な非線形性を有する疑似安定な結晶相を持ち,10^<-3>sec程度の長い緩和時間を有し,低周波数領域でのAC伝導率の周波数特性はガラス或いはアモルファス半導体に類似する特性を示す。本研究の目的は,この特異な非線形物性現象を実験的に解明する事である。配分された補助金(消耗品)によりランタンLa(57)からルテチュムLu(71)まで希土類の硝酸化合物の単結晶育成を行い,測定に耐え得る単結晶を得た。備品費により得た冷却装置,制御用コンピューター等の備品に基づき,室温から-80℃までの各温度においてACインピダンスの時系列データの計測システムを製作した。作製した測定システムは1ヶ月以上の長期計測に耐え得るものであり,従来の測定システムよりその測定能力は向上している。実験の結果より,物性が未定であった硝酸ツリウム結晶において,疑似安定相が存在する事が分かり,硝酸テルビウムにおいては顕著な経時変化が発見された。硝酸サマリウムは,疑似安定領域における,繰り込み次元に対してフラクタル次元が飽和し,この領域がカオス的或いは決定論的な特性を示す事が判明した。合わせて,1/fノイズの存在が見いだされた。現在,その結果をPhysicaに投稿中である。また硝酸ネオジム結晶における時系列データの温度変化測定より,そのスペクトルが不安定と安定領域の転移において変化することが解った。硝酸サマリウムと同様に1/fノイズの存在を示唆する結果を得た。以下の学会に研究結果は公表されている。平成5年9月岡山大の日本物理学会て1件,北大にて開かれた第29回応用物理学会北海道支部会にて3件また福岡工大にて平成6年3月に開催された日本物理学会にて1件で,合計5件の講演発表を行った。現在論文投稿中としては,Physicaへの投稿を含めて,3編程度ある。
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