1993 Fiscal Year Annual Research Report
大自由度カオス系の伝搬,応答,再構築の結合写像による研究
Project/Area Number |
05836006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 邦彦 東京大学, 教養学部, 助教授 (30177513)
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Keywords | 時空カオス / 大自由度カオス / クラスター化 / Coupled Map Lattice / ひきこみ / ハミルトン力学系 / 乱流 / 空間カオス |
Research Abstract |
時空カオスは空間的に広がった非線型系の示す時間的空間的に乱れた現象の総称で,流体乱流、プラズマ、光学、固体物理(ジョセフソン結合,電荷密度波)等広い分野で重要な問題である。このような時空カオスやパタン動力学の研究のためにCoupled Map Lattice(CML)を中心として研究を進めた。 特に以下の点で進歩があった。 1.多自由度ハミルトン系に対応するCMLを使い,エルゴード性の起源や局所的秩序の発生の機構を探った。特に引力系では粒子の絡まった秩序を持つクラスター状態、斥力系では粒子が分散した秩序状態が存在し、各々はカオス的に振舞っている事を見出した。またこういった秩序状態が1つではなく玉葱状の層をなしていることを発見した。これらは多粒子系のハミルトニアンダイナミクスにおける秩序の生成を考える上で示唆的である。 2。開水路系の乱流に対応するCMLを用い,流れのある時空カオスの性質を調べた。特に時間的には周期運動をし、空間的にはカオスになっている状態を発見し、これが、もとのCMLから導かれる空間マップのカオスとして記述できることを見出した。このような“空間カオス"から時空カオスがいかに発生するかなどを明らかにした。またこれらと流れつきリヤプノフ数の関係を論じ、空間的準周期状態が安定の場合があること、空間カオスが不安定なことを示した。 3。大自由度系カオスの相互作用をadaptiveに変えることにより、入力パタンに応じたクラスター化やコントロールがある程度可能であることを見出した。モデル自体は脳のダイナミクスでの知見に基づいており、外界と内部のカオスダイナミクスの干渉として記述される。
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[Publications] K.Kaneko and T.Konishi: "Peeling the Onion of Order and Chaos in a High-dimensional Hamiltonian System" Physica D. (in press). (1994)
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[Publications] K.Kaneko: "Chaos as a Source of Complexity and Diversity in Evolution" Artificial Life 1. (in press). (1994)
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[Publications] K.Kaneko: "Relevance of Clustering to Biological Networks" Physica D. (in press). (1994)