1993 Fiscal Year Annual Research Report
カオス振動系の引き込み現象の解析とマイクロポンプの制御に関する基礎的研究
Project/Area Number |
05836032
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岩元 和敏 東海大学, 開発工学部, 助教授 (40114392)
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Research Abstract |
平成5年度は研究期間の一年目に当たり、研究課題を遂行するうえで必要となる基本的な問題点の解決を行なった。当研究課題は二つのテーマを含んでいる。すなわちマイクロポンプの試作とその制御を行なうためのカオス振動系の自己組織化の研究である。それぞれについて以下研究実績を報告する。 まずマイクロポンプを試作するため、絶縁基板上に微小電極の作製を行なった。光リソグラフィー技術を用いてガラス基板上にサイズが数十ミクロンの微小電極を作製した。材質は白金である。さらにその上に銀を蒸着することにより銀電極とし、一部塩素化することにより銀/塩化銀電極を作製した。この電極を被覆するように架橋ポリメタクリル酸ゲルを光重合法で作製した。ガラス表面とイオン性高分子ゲルとの安定な接着を実現するために、ガラス表面をシランカップリング剤で処理を行なった。銀/塩化銀電極間に電流を流すと、電流分解によりpHの変化が起こり、その結果イオン性高分子ゲル層の膨潤収縮が起こるはずである。残り一年の研究で、イオン性高分子ゲル層の膨張収縮運動を電気的に制御する条件について解明する。 一方、カオス振動系の制御については、基本的なモデルの構築を行ない、その挙動について調べた。すなわち二つのカップリングしたカオス振動の引き込みについて調べ、その結果の一部を、第3回非線形反応と協同現象シンポジウム(日本化学会非線形反応と協同現象研究会主催)で発表した。マイクロポンプの制御を行なうためには、12個のカオス振動系がカップリングした系の挙動を明らかにすることが必要であるが、モデル系を組み立てて現在研究中である。
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