1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05836033
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
池口 徹 東京理科大学, 基礎工学部, 助手 (30222863)
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Keywords | カオス / 時系列解析 / フラクタル / 相関次元 / 予測 / 軌道不安定性 / 長期予測不能性 / 情報量規準 |
Research Abstract |
1.相関次元を用いたフラクタル性の解析 種々の非線形力学系モデルより発生させた時系列データに対して、従来手法である相関積分法と新手法である,最尤推定を用いて計算することにより、相関次元の推定精度についてを検討をした.その際,モデルより生成する時系列の時間長を様々な場合に設定し,100種類の初期値により発生させたデータ群に対して検討した.その結果,報告者の導入した新手法では,従来手法の約10から100分の一のデータ数でかなり正確な相関次元が推定されることが明らかとなった.即ち,相関次元推定に関する新解析手法の妥当性を確認した。 2.決定論的非線形予測を用いた解析 次に、カオスの持つ軌道不安定性とそれにより生じる長期予測不能性を決定論的非線形予測を用いた解析により議論した.具体的な手法として、ヤコビ行列を用いた区分線形法を用いた。また,本研究で用いた解析は,パラメトリックな手法であり、アトラクタ上の近傍点の数に予測精度が依存すると考えられる.そのため,情報量基準を導入することで,予測精度とパラメータ数の関係を論じた.その結果,従来より経験的に設定されていた数よりもかなり少ない近傍点で十分な精度が得られることが確認された.これは,実データへ応用する際の重要な知見となるものである. 以上の解析手法を、本年度申請した予算で購入したワークステーション上で、様々なデータを発生させ、解析対象とできるようにした。また、既にある所有していた、ソフトウエアおよびワークステーション用ネットワークの整備を行ない、柔軟な解析環境を整備した。以上により、種々のデータを対象とした解析を行ない、実データを解析する際の問題点を明らかにし,新手法を導入し,客観的な解析を用いることにより,より汎用性の高いカオス特性解析の手法としての可能性を定量的に示すことに成功した.また、上述の解析に加え、時系列データの定常性について検討を行ない、種々の非線形力学系としての性質を定量化するについても試みた。更に,この手法を生体より生じた実データへ応用し,生体系の情報処理におけるカオスの果たす役割に関する基礎検討についても検討した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] T.Ikeguchi: "Nonlinear Modeling of biological time series" Proceedings of 7th Toyota Conference. 1. 29-1-29-4 (1993)
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[Publications] T.Ikeguchi: "Performance Evaluation of Deterministic Nonlinear Prediction" Proceedings of 1993 Int,Symp.on Nonlinear Theory. 1. 263-268 (1993)
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[Publications] 池口 徹: "相関次元解析について" 電子情報通信学会技術研究報告. NLP93. 63-70 (1993)
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[Publications] S,Kimoto: "Deterministic chaos and its stationarity" Proceedings of 7th Toyota Conference. 1. 33-1-33-4 (1993)
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[Publications] S,Kimoto: "A Continous Stationary Analysis with KM_2O‐Langevin Equations" Proceedings of 1993 Int.Sym.on Nonlinear Theory. 3. 967-970 (1993)
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[Publications] 木本早苗: "KM_2Oランジュバン方程式を用いた定常性の検定" 電子情報通信学会技術研究報告. NLP93. 55-62 (1993)
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[Publications] T.Ikeguchi: "Towards the harnessing of chaos" Elsevier(印刷中), (1994)