1993 Fiscal Year Annual Research Report
血流により機能的変化を生じた内皮細胞と、内皮下平滑筋細胞の相互作用
Project/Area Number |
05837009
|
Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
三俣 昌子 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (40064589)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 徹 山梨医科大学, 医学部, 助手 (60220430)
吉田 洋二 山梨医科大学, 医学部, 教授 (10008237)
|
Keywords | 血流 / ずり応力 / 内皮細胞 / 平滑筋細胞 / 増殖 / GAGs産生 / ならし培地 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
血流の力学的刺激により機能的変化を生じた内皮細胞の、平滑筋細胞増殖に与える影響をin vitroで検討した。 方法:ブタ大動脈内皮細胞、ウサギ胸大動脈中膜および内膜平滑筋細胞を用いた。ずり応力はflow chamber内の内皮細胞上に培養液を流して負荷した。細胞増殖と細胞蛋白合成はそれぞれ^3H-thymidineと^3H-leucin取り込みを、glycosaminoglycans(GAGs)産生は細胞が産生したGAGs内への^<35>Sの取り込みをcetylpyridinium chloride沈殿法で測定した。mRNA発現はNorthern blottingを行なった。 結果:1.ウシ血管内皮細胞を比較的高いずり応力(30dyn/cm^2)に暴露すると、PDGF B mRNAが発現されることをわれわれは発表した。そこで、PDGF蛋白の平滑筋細胞増殖作用を確認すると、中膜および内膜平滑筋細胞ともに10または20ng/mlのヒトPDGF B刺激により有意に増殖した。そこで次に、30dyn/cm^2のずり応力を負荷した内皮細胞のconditioned medium中で平滑筋細胞を培養し、平滑筋細胞の増殖を調べた。対照はincubator内に静置した内皮細胞のconditioned mediumである。予想に反して、対照に比し、ずり応力負荷内皮細胞のconditioned medium中では中・内膜平滑筋細胞の増殖は抑制された。 2.15および40dyn/cm^2のずり応力により、内皮細胞表層および細胞外可溶性基質中にはheparan sulfateが、培養液中にはchondroitin/dermatan sulfateがずり応力負荷により増加した。また両sulfateともに産生増加にはずり応力に細胞を24時間以上暴露する必要があった。このずり応力による内皮細胞GAGs産生増加は、細胞のDNA合成抑制と蛋白合成亢進を伴っていた。ずり応力負荷内皮産生GAGsは平滑筋細胞増殖を抑制する可能性がある。 3.ずり応力負荷内皮細胞およびずり応力負荷内皮細胞のconditioned medium中で培養した内膜平滑筋細胞のTGF-β mRNAの有意な発現はまだ両細胞において認めていない。
|
-
[Publications] Tomoyuki Arisaka: "Effects of shear stress on glycosaminoglycan synthesis in vascular endothelial cells" Ann.NY Acad Sci (in press).
-
[Publications] 三俣 昌子: "血行力学的因子に対する内皮細胞の反応" 動脈硬化. 21. 473-477 (1993)
-
[Publications] Masako Mitsumata: "Fluid shear stress stimulates platelet-derived growth factor expression in endothelialcells" Am.J.Physiol.265. H3-H8 (1993)
-
[Publications] 三俣 昌子: "動脈硬化研究の進歩 (印刷中)" 動脈硬化セミナー(編),